IT資産管理代行で情シス負担を70%削減!アウトソーシング完全ガイド
リモートワークが定着し、SaaSやクラウド端末が増え続けるいま、社内情シスには「どのデバイスが誰の手元にあるか」「ライセンスは過不足なく契約できているか」を常に把握する高度なIT資産管理が求められています。しかし、限られた人員で棚卸しや台帳更新をこなすのは容易ではなく、“一人情シス”が夜遅くまで残業する──そんな光景も珍しくありません。
そこで注目されているのが、専門業者にIT資産管理をアウトソースする「IT資産管理代行」です。本記事では、代行サービスの基本と自社運用の課題を整理したうえで、メリット・デメリット、料金相場、主要サービス20社の比較、導入ステップまでを網羅的に解説します。
目次[非表示]
- 1.IT資産管理代行とは
- 1.1.IT資産管理の定義と必要性
- 1.2.アウトソーシングが注目される背景
- 2.IT資産管理を自社で運用する課題
- 2.1.棚卸し工数とデバイス増の負担
- 2.2.コンプライアンス・セキュリティの盲点
- 3.IT資産管理代行サービスのメリット
- 4.IT資産管理代行サービスのデメリット
- 4.1.ベンダー依存や情報漏洩リスクの懸念
- 4.2.サービス範囲のミスマッチによる運用負荷
- 5.IT資産管理代行の主な業務範囲
- 5.1.キッティング~ライフサイクル管理
- 5.2.パッチ・ライセンス監査対応
- 6.IT資産管理代行の料金相場とコスト試算
- 6.1.月額課金モデルの平均価格帯
- 6.2.見積もりチェックポイント
- 7.中小企業向けおすすめIT資産管理代行サービス
- 8.エンタープライズ向けおすすめIT資産管理代行サービス
- 9.IT資産管理代行の失敗しないベンダー選びの視点
- 9.1.実績・SLA・サポート体制
- 9.2.セキュリティ認証・データ保護
- 10.IT資産管理代行の導入ステップと移行プロセス
- 10.1.要件定義~PoC の進め方
- 10.2.運用開始後のKPI設定
- 11.IT資産管理代行の要点を整理して、最適な選択をしよう
IT資産管理代行とは
IT資産管理の定義と必要性
IT資産管理とは、企業が保有するハードウェア(PC・サーバー・スマホなど)やソフトウェア・クラウドサービスの利用状況を一元的に把握し、導入から日常利用、保守・更新、廃棄に至るまで適切に管理することです。単なる台帳作成だけでなく、コスト削減やセキュリティリスク軽減、ライセンス違反防止などを目的に、IT資産のライフサイクル全体で統制を取る重要な業務です。適切なIT資産管理により、不要な機器購入によるムダな支出削減や、未管理のデバイス放置による情報漏洩リスクの低減が期待できます。
アウトソーシングが注目される背景
近年、DX推進やテレワーク普及で管理すべきIT資産は多様化・分散化しました。一方、社内でそれらを担うIT人材の確保は困難になっており、特に中小企業では慢性的な情シス人手不足が深刻です。このような状況から、専門業者にIT資産管理を委託するアウトソーシングが注目されています。アウトソーシングにより、限られた社内リソースでも最新技術に精通したプロの支援を得られ、セキュリティ対策やIT運用を効率化できる手段として期待されているのです。
IT資産管理を自社で運用する課題
棚卸し工数とデバイス増の負担
社内でIT資産管理を手作業で行う場合、資産台帳の更新や棚卸し作業に膨大な時間がかかりがちです。例えばExcel台帳でPC配備状況を管理していても、人手不足の情シスでは更新漏れや記入ミスが発生し、実際の端末数や所在を正確に把握できません。事業拡大やリモートワークによるデバイス増加に比例してこの負担は増し、「年1回の全社棚卸しに毎回何週間もかかる」といったケースもあります。こうした工数の膨張は情シス担当者の残業増加につながり、本来注力すべき戦略業務に時間を割けなくなる大きな課題です。
コンプライアンス・セキュリティの盲点
自前管理には、見落とされがちなライセンス遵守やセキュリティ対策のリスクも潜んでいます。例えば社員が無断でソフトをインストールし、契約数を超過利用していても気付けない場合、ライセンス違反による法的リスクを抱えることになります。また、管理されていないPCが社内に残存し古いソフトウェアのセキュリティパッチ未適用が放置されれば、脆弱性から不正アクセスを許す可能性が高まります。このようにコンプライアンス違反やサイバー攻撃の盲点が生じやすい点も、属人的なIT資産管理の課題です。
IT資産管理代行サービスのメリット
人件費・管理コストを大幅に最適化できる
IT資産管理をアウトソーシングすることで、情シスの業務負荷軽減とコスト最適化の二重のメリットが得られます。専門知識を持つプロに任せれば管理の精度が向上し、過剰な機器や未使用ソフトの洗い出しによって重複投資を防げます。例えば使われていないライセンスを整理して余計な契約を削減したり、稼働していない端末の購入を見直すことで、トータルのIT予算を削減可能です。さらに社内人件費も抑制でき、専任担当者を増員せずともサービス利用料(月額課金など)で必要な範囲だけプロの力を借りられるため、固定費化しがちな人件費を変動費に置き換える効果も期待できます。
運用効率の向上と定量的な効果測定が可能
アウトソーシング導入により、IT資産管理の運用効率は飛躍的に向上します。プロのチームが最新ツールや標準化されたプロセスで管理するため、インベントリ収集や台帳更新が自動化・迅速化され、属人化も解消されます。
また多くのサービスではSLA(サービスレベル合意)のもと、対応スピードや稼働率といったKPIを定めて運用状況を“見える化”できます。定期レポートで効果測定を行い、例えば「資産台帳の整備率」や「ライセンス超過の件数削減」といった成果を定量的に把握できるため、導入後のPDCAを回しやすい点もメリットです。
IT資産管理代行サービスのデメリット
ベンダー依存や情報漏洩リスクの懸念
アウトソーシングには特定ベンダーへの依存リスクが伴います。すべてを任せきりにして社内にノウハウが蓄積されないと、万一サービス停止や契約終了時に自社で対処できなくなる「ベンダーロックイン」状態に陥りかねません。このため、委託後も最低限の知識を社内保持し、複数ベンダーを使い分けるなどの対策が必要です。
また、社外の人間が自社の機密データやアカウント情報を扱う以上、情報漏えいのリスクもゼロではありません。委託先のセキュリティ水準(ISO27001等の認証取得状況)を確認し、アクセス権限の厳格管理や契約上の機密保持条項を十分に取り決めておくことが大切です。
サービス範囲のミスマッチによる運用負荷
委託する範囲と内容を見誤ると、期待した業務負荷軽減が得られない恐れがあります。例えば資産台帳管理は任せたものの社内問い合わせ対応は対象外だった場合、結局情シスが対応に追われるなどのミスマッチが生じかねません。加えて、外部ベンダーと円滑に協業するには丁寧なコミュニケーションが不可欠です。自社の業務やシステム状況を十分伝え、定例打ち合わせで認識齟齬を防ぐ対応が必要となるため、委託開始直後はむしろ手間が増える側面もあります。
こうした初期のすり合わせを経てもなおサービス範囲にギャップがあると、「結局一部は自社対応」という無駄が発生するため、契約前に範囲と役割分担を明確に定義しておくことが重要です。
IT資産管理代行の主な業務範囲
キッティング~ライフサイクル管理
IT資産管理代行サービスでは、デバイスの調達からキッティング(初期設定)、運用・保守、そして廃棄処理までの一連のライフサイクル管理を包括的に任せられます。具体的には、新入社員用PCの購入手配やOSセットアップ、ソフトインストールといった導入・展開フェーズから、日々の資産台帳更新・定期棚卸し、故障時の修理・代替機手配等の運用・保守フェーズ、さらにリース満了機器の返却やデータ消去・産廃処理まで適正な廃棄処理フェーズまで、専門業者がワンストップで対応します。これにより資産のライフサイクル全般を委託でき、社内の情シス担当者はデバイス管理の煩雑な作業から解放され、戦略的なIT企画に集中できるようになります。
パッチ・ライセンス監査対応
IT資産管理代行では、OSやソフトウェアのセキュリティパッチ適用管理やソフトライセンスの監査対応もサポート範囲に含まれます。例えばWindowsや各種アプリのアップデート状況を定期チェックし、必要に応じて代理でパッチを一斉適用することで、社内端末を常に最新状態に保ちます。
また、ソフトウェア資産管理(SAM)の観点から、インストール数と契約ライセンス数の突合を行い、違反が疑われる場合は事前に是正します。サービス提供会社によっては、監査時に必要なライセンス証書や購入証明書の管理まで代行し、外部監査に備えたエビデンスを整備してくれる場合もあります。これによりライセンス監査対応にかかる情シスの負担を大幅に軽減し、コンプライアンス遵守の安心感を得ることができます。
IT資産管理代行の料金相場とコスト試算
月額課金モデルの平均価格帯
IT資産管理代行サービスの料金は、委託範囲や台数によって様々ですが、一般的な相場は「デバイス1台あたり月額5,000~20,000円」程度とされています。小規模な環境なら月額数万円から、大規模企業では月額100万円以上になるケースもあります。例えばPC50台程度の中小企業で、資産台帳管理とヘルプデスクのみを委託する場合、月額20~30万円前後が一つの目安です。
一方でキッティングから廃棄処理まですべて丸ごと依頼するフルアウトソースでは、月額50~100万円規模になることもあります。初期費用については、システム導入や現状調査に対する導入一時金が発生する場合がありますが、こちらも内容により数万円~数十万円と幅があります。具体的な料金はサービス提供各社のメニューや契約期間によって異なるため、あくまで概算相場として参考にしてください。
見積もりチェックポイント
まず費用内訳では、初期費用・月額費用など各項目の金額と内容を明確に把握しましょう。次にサービス範囲として、資産台帳の更新頻度やヘルプデスク対応時間など見積もりに含まれる内容を確認します。また追加費用の条件(緊急対応の料金、端末増加時の費用、解約違約金の有無など)もチェックし、後から想定外のコストが発生しないようにします。最後に複数社の見積もりを比較し、価格やサービス品質が相場と見合っているか精査しましょう。
中小企業向けおすすめIT資産管理代行サービス
中小企業の場合、「専任の情シスを雇うほどの予算はないが、IT 資産の台帳更新や故障対応を手放しにはできない」という悩みを抱えがちです。そこで役立つのが、スモールスタートに対応しながらも専門性の高いサポートを提供してくれる IT 資産管理代行サービス です。以下では 「費用感」「対応範囲」「導入のしやすさ」 を軸に、中小企業向けに特に評価の高い 10 社をピックアップしました。自社の規模や運用方針と照らし合わせながら、最適なパートナー選定の参考にしてください。
サービス |
特徴 |
PC・SaaS 資産管理からヘルプデスクまでワンストップ。AI チャットで 24 時間問い合わせ受付。 |
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有資格エンジニアが小規模企業の “情シス担当” を月額 1.1 万円から代行。リモート中心で柔軟対応。 |
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PC 調達-キッティング-保守-廃棄を一括サポートする LCM(ライフサイクル)サービスが強み。 |
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クラウド情シスサービス「あ・うん」で日常運用を代行し、IT 戦略業務へ専念可能に。 |
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デバイスと SaaS アカウントを統合管理し、入退社業務や棚卸しを自動化。料金表請求制。 |
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SOC 由来の 24/365 セキュリティ監視と資産可視化を提供。サイバー攻撃対策に強い。 |
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大手 SIer。常駐・リモートを組み合わせた情シス運用支援を柔軟に提供。 |
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PC キッティング/在庫管理/ヘルプデスクを月単位で委託可能。全国訪問にも対応。 |
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「カンタン IT 資産管理サービス」で人・デバイス・ソフトを一元可視化。クラウド提供。 |
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AWS 運用代行をメニュー化。監視・障害対応をサーバー 1 台月額 3.85 万円から。
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エンタープライズ向けおすすめIT資産管理代行サービス
大規模なグループ会社や全国拠点を抱えるエンタープライズ企業では、端末台数や業務要件の多様性に対応できる運用体制と高度なセキュリティ水準が欠かせません。ここでは、全国オンサイト保守や24時間体制の監視など、スケールメリットと信頼性を兼ね備えた代表的なIT資産管理代行サービス10社を比較しやすいよう一覧にまとめました。自社の課題と照らし合わせながら、最適なパートナー選定にお役立てください。
サービス |
特徴 |
IT資産を可視化するレポートと専門オペレーションで安全な運用管理を代行 |
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自動インベントリ収集・一括パッチ適用など Systemwalker ベースのPC資産管理 |
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企画〜廃棄までライフサイクルを一元管理し、運用負荷とコストを低減 |
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全国オンサイト対応・60年以上の保守実績でマルチベンダー機器を運用代行 |
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高い信頼性と柔軟なアウトソーシング体制で幅広い IT 資産を統合運用 |
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資産・脆弱性情報を可視化し一元管理するサブスクリプション型サービス |
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AI・自動化を組み込んだ統合システム運用管理サービスで高度な運用を提供 |
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PC・スマートデバイスの台帳管理をクラウド/オンプレでサポート |
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ServiceNow 連携でハード・ソフト・クラウドのライフサイクルを自動追跡 |
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「Device as a Service」で調達〜廃棄を月額定額化、AI分析で予防保守 |
IT資産管理代行の失敗しないベンダー選びの視点
実績・SLA・サポート体制
IT資産管理代行サービスを選定する際は、まず提供ベンダーの実績を確認しましょう。類似規模・業種での導入事例が多いほど、自社の課題に適したノウハウを持っている可能性が高いです。また、サービスレベルを明確に定めたSLA(サービス品質保証)を提示しているかも重要なポイントです。例えば「問い合わせ何分以内に初期対応」「資産台帳の精度99%以上保証」など数値目標が契約に盛り込まれているか確認します。
さらに、サポート体制も見逃せません。平日日中のみ対応か、夜間・休日も含めた365日サポートか、専任のカスタマーサクセス担当が付くか、といった体制の違いが運用満足度を左右します。自社の運用時間帯や求める手厚さに応じて、最適なサポート形態を選びましょう。
セキュリティ認証・データ保護
外部委託する以上、情報セキュリティ面の信頼性は必須チェック項目です。具体的には、ベンダーがISO/IEC 27001(ISMS)やプライバシーマークなどのセキュリティ認証を取得しているか、顧客情報保護の社内ルールを明示しているか確認します。
契約上も機密保持契約(NDA)の締結はもちろん、GDPRや改正個人情報保護法など関連法規制の遵守姿勢を双方で確認しておくべきです。また、データの扱いについても、資産台帳データを預けるクラウドの所在地・管理ポリシー、アクセス権限の管理方法(原則多要素認証や操作ログの取得など)を事前にヒアリングしましょう。これらの事項をクリアしたパートナーであれば、安心して重要なIT資産情報を託すことができます。
IT資産管理代行の導入ステップと移行プロセス
要件定義~PoC の進め方
サービス導入にあたっては、まず自社内での要件定義から始めます。現状のIT資産管理上の課題(例: 棚卸しに○時間かかる、ライセンス超過が発生中など)を洗い出し、どの部分を外部委託したいのか優先順位を付けて整理します。次に候補ベンダーと機密保持契約を結んだ上で詳細ヒアリングを実施し、要件を共有します。
その後、多くの場合PoC(概念実証)フェーズとして、短期間・限定範囲で試験的にサービスを利用してみることが推奨されます。例えば一部部署のPC10台のみで台帳管理代行を試すなど、小さく始めてサービス品質や相性を評価します。PoCの結果を踏まえ、問題がなければ本契約に進み、正式導入となります(必要に応じてサービス内容やSLAの微調整を行います)。このように段階的に検証しながら進めることで、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。
運用開始後のKPI設定
本格運用が始まったら、KPI(重要業績評価指標)の設定とモニタリングを行いましょう。委託した目的に沿って、例えば「情シス対応工数○%削減」「ソフトウェアライセンス遵守率100%」「故障対応の平均復旧時間○時間」など測定可能な指標を双方で合意します。サービス提供側から定期的に提出されるレポートやダッシュボードを活用し、KPI達成状況を月次・四半期でレビューします。万一目標未達の場合は原因を分析し、追加対応やプロセス改善を依頼するなどベンダーと協力して是正します。
また、社内向けにも効果をアピールするため、導入前後で「棚卸し作業時間が○時間短縮」「未許可ソフトのインストール件数がゼロに」など成果指標を比較し、経営層へ報告すると良いでしょう。KPI管理によりサービス品質を継続的に高め、長期的なパートナーシップの下で最適な運用を追求していくことが大切です。
IT資産管理代行の要点を整理して、最適な選択をしよう
IT資産管理代行は、情シスの負担軽減やITコスト最適化、セキュリティ強化に大きく寄与するソリューションです。しかし、自社にとって最適な形で導入するためには、メリットとデメリットを正しく理解し、信頼できるパートナーを選定することが不可欠です。本記事で解説したポイントを整理すると以下の通りです。
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業務範囲と目的を明確に:棚卸し工数削減やライセンス管理改善など、自社の課題を洗い出し、委託したい業務を具体化しましょう。
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パートナー選びは慎重に:実績豊富でSLAが明確なサービスを選び、セキュリティ面でも信頼できる企業かを見極めます。複数社の比較検討は必須です。
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段階的に導入検証:いきなり全面委託するのではなく、PoCや一部部署から始めてフィット感を確認し、本格導入へ移行すると安心です。
- 導入後も効果測定:KPIを設定して定期的にレビューし、サービス品質の維持向上に努めましょう。アウトソーシングの成果を定量的に捉えることで、さらなる改善策も見えてきます。
以上の点を押さえつつ、情シスの良き“相棒”となるアウトソーシングサービスを選択できれば、煩雑なIT資産管理から解放され、本来のDX推進や戦略業務に専念できるでしょう。ぜひ最適なパートナーを見つけ、情シス負担の大幅削減とIT運用の高度化を実現してください。