法人向けパソコンのリース期間は何年が最適?5年は本当にお得?コストとリスクを徹底比較
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近年、ビジネスでパソコンを導入する際、初期費用を抑える目的でパソコンをリースで調達するケースも増えており、契約期間を3年から5年へ延長してコスト削減を図りたいと検討する企業もあります。「5年リース」は月額コストを抑えながらIT環境を整備できる点は魅力的ですが、その一方で性能の陳腐化や故障リスクといった懸念もあります。リース契約の年数によってコスト構造や運用負担が大きく変わるため、自社にとって最適な期間を見極めることが重要です。
本記事では、5年リースのメリットとデメリットを比較し、コストとリスクのバランスをどう取るべきかを詳しく解説いたしますので、自社のパソコン調達の判断材料にしていただければ幸いです。
抑えておきたいパソコンリースの基本
まず、パソコンリース契約を検討するにあたり知っておきたい基本事項を整理します。リースの標準的な契約期間や途中解約の可否といった契約上のルール、そして契約形態による会計処理の違いについて確認しておきましょう。
標準的な契約期間
法人向けパソコンのリース契約期間は、一般的に2年から5年程度の長期で設定されることが多く、契約が長くなるほど月々のリース料金は割安になる傾向があります。これはパソコンの法定耐用年数(通常4年)の約70%以上の期間で契約を組むという基準にも沿っており、リース契約は少なくとも2年以上から開始するケースが一般的です。
例えば、多くの企業では3年や4年リースを標準とすることが多いですが、さらにコストを抑える目的で5年リースを選択することも可能です。契約期間が長期になるほど1カ月あたりの負担額は下がりますが、その分利用期間中は同じパソコンを使い続けることになるため、自社の用途に見合った年数を慎重に検討する必要があります。
途中解約の可否
リース契約では途中解約が原則できない点に注意が必要です。契約期間内に事業方針の転換や人員削減などでパソコンが不要になっても、残存期間分のリース料は基本的に支払い義務が残ります。多くのリース契約書には中途解約不可と明記されており、やむを得ず使用を中止した場合でも残り期間の料金を一括請求されるケースがほとんどです。そのため、契約前に必要な利用期間を見極めることが大切です。
柔軟な増減が予想される場合や短期プロジェクトでの利用には、リースよりも期間を自由に設定でき、中途解約も可能なレンタルの方が適している場合もあります。5年リースのような長期契約を結ぶ際は、契約期間中にデバイスが不要になるリスクを十分検討した上で判断しましょう。
契約形態と会計処理
リース契約は形態によって会計上の扱いが異なります。
ファイナンスリースの場合、実質的に「購入して資産を所有する」のと同じと解釈されるため、利用企業側でパソコンをオンバランス(資産計上)することが求められます。
一方、残価設定などによりリース会社が資産リスクを一部負担するオペレーティングリースであれば、リース料を賃借料としてオフバランス処理(資産計上不要)することも可能です。一般にパソコンのリースは所有権がリース会社にあるため、契約条件を満たせば利用者側で固定資産に計上せずリース料を経費処理できるケースが多く見られます。これは購入と比べて貸借対照表を膨らませずに済む利点と言えるでしょう。
また、会計処理以外にも契約終了時の扱い(返却・買取・再リース等)によってその後の資産管理や費用負担が変わるため、契約前にしっかり確認することが重要です。リース契約を検討する際は、自社に適した契約形態と会計処理方法になっているかをチェックしておきましょう。
法人のパソコンリース期間で5年を選ぶメリット
それでは、パソコンリースの契約期間を5年と長めに設定した場合、具体的にどのようなメリットが得られるのかを見ていきます。長期リースならではのコスト面の利点や運用上のメリットを中心に解説します。
月額のコストの最小化
5年リース最大のメリットは、月々の支払い負担を極力抑えられることです。契約期間を長く設定することで機器代金を分割する回数が増え、1カ月あたりのリース料が低く設定されます。
実際、法人向けパソコンリースの相場月額は1台あたり約3,000~5,000円ですが、契約年数が長いほど月額単価は低くなる傾向があります。例えば同じ性能のパソコンでも3年リースと5年リースでは5年リースの方が月額数千円程度安くなるケースが一般的です。長期契約を前提とすることでリース会社も機器代金を回収しやすくなるため、このように5年リースは最も月額負担が小さくなるプランと言えます。
毎月のランニングコストを最小化できれば、その分浮いた予算を他のIT投資や運用費用に充当でき、特に予算に制約のある中小企業にとっては大きな魅力となるでしょう。
予算編成・資金計画のしやすさ
リースは毎月定額の支払いであるため、長期契約でも資金計画が立てやすい点もメリットです。5年リースの場合、5年間にわたり一定額のリース料を経費計上していく形となり、年度ごとのパソコンの費用が予め固定されています。まとまった初期投資が不要なので、パソコン導入時に大きくキャッシュが減る心配もなく、キャッシュフローを安定化させられます。これは「設備投資ではなく運用コスト」としてIT機器を調達できることを意味し、創業間もない企業や成長期の企業でも手元資金を残しつつ必要なデバイスを揃えられる利点があります。
また、月額払いで費用が平準化されているため、予算編成がシンプルになり経理処理も容易です。年度ごとのデバイスの入れ替え費用を見積もる必要がなく、5年間のITコストを安定して計画できます。結果として、資金繰りの予見性が高まることが5年リースの大きなメリットのひとつです。
デバイスの寿命とOSサポート周期との相性
5年という契約期間は、パソコンの物理的な寿命やOSサポート期間とのバランスという点でも適した長さとされています。一般にパソコンの平均寿命は5~7年程度と言われており、5年を過ぎた頃から内部パーツの劣化が始まる傾向があります。例えば、SSDや電源ユニットなど重要部品は5年を超えると故障率が上がり、パソコンが起動不能になるリスクも高まります。5年リースであればちょうど部品寿命のタイミングで更新を迎えられるため、ハードウェアの老朽化によるトラブルを回避しやすくなります。
また、OSやソフトウェアのサポート周期とも合致しやすい点も見逃せません。WindowsやmacOSなど主要OSは数年ごとに大型アップデートやサポート期限が設定されていますが、5年以内であれば基本的に現行OSのサポート下で運用できるケースが多いでしょう。古すぎるパソコンだと新OSへのアップグレード非対応や動作不良の懸念がありますが、5年程度のサイクルで入れ替えていけば常にサポート対象内の環境を維持しやすくなります。
こうした理由から、「パソコンを5年使ったら刷新する」というのは耐用年数と技術進歩の両面から見て合理的な目安となっています。
法人のパソコンリース期間で5年を選ぶ際のデメリット・注意点
長期リースには上記のような魅力がある一方で、契約期間を5年とする場合に注意すべきデメリットも存在します。ここからは、5年リース特有のリスクやデメリットについて解説しますので、メリットと合わせて判断材料にしてください。
性能陳腐化で生産性低下
パソコン業界の技術進歩は速く、導入時には最新だった機種も5年後には性能的に陳腐化している可能性があります。購入から4~5年も経過すると、当時最新だったパソコンと現在の最新モデルを比べて処理速度や性能に大きな開きが生じるのが一般的です。特に業務用ソフトウェアやOS自体も新しいハードウェアを前提に開発が進むため、5年前のパソコンでは動作が重くなったり、快適性が損なわれたりしがちです。社員が日々使う業務パソコンの動作が遅いと、生産性の低下やストレスにつながり、見えないコストを生む恐れもあります。
また、新技術への対応不足によって業務効率が下がるケースも考えられます。3年程度であれば性能面の陳腐化は限定的ですが、5年使い続けるとどうしても「性能の時代遅れ感」は否めなくなる点はデメリットと言えるでしょう。社内のIT環境で高い処理能力が求められる業務が多い場合、5年間同じパソコンを使い続けることが業務効率の足かせになる可能性がある点に注意が必要です。
保守費用・故障率の増加
パソコンを長期間使い続けることで避けられないのが、経年劣化による故障リスクの増加とそれに伴う保守コストの上昇です。一般にハードディスクや電源装置など物理的な可動部品を持つ機器は、使用年数に比例して故障率が高くなるとされています。ある試算では、企業がパソコンを使い続ける上でコストとリスクの転換点は3年程度とも言われており、それを過ぎると保守対応やダウンタイムによる損失が増大し始めると指摘されています。5年リースでは契約後半の4~5年目に入った頃から故障が一気に増えるケースもあり、実際にリース期間5年の後半で故障が頻発し、修理対応の負担が大きくなったという企業事例も報告されています。
リース契約では通常、自然故障時の修理費用や保守対応はユーザー負担となるため、古いパソコンを維持するほど維持管理コストがかさむ点は見過ごせません。特に保証期間を過ぎた4年目以降の故障は修理代が高額になることも多く、場合によっては新品購入に迫る費用が発生することもあります。
さらに、故障による業務停止やデータ復旧の手間といった目に見えない損失も無視できません。5年リースを選ぶ際は、このように後半の故障増加リスクと保守費用の上昇を織り込んでおく必要があります。リース会社によっては保守サービスをオプション提供している場合もありますので、長期契約時にはサポート内容もしっかり確認しておきましょう。
3年リースと5年リースをコスト面で比較
では、契約期間を3年にした場合と5年にした場合で、具体的にどのくらいコストに差が出るのかを比較してみます。
以下に、主な違いをまとめました。
月額料金
一般的に5年リースの方が契約期間が長いため月額のリース料は低く設定されます。一方、3年リースは短期間で代金を回収する必要があるため月額はやや高めです。例えば同じスペックのパソコンでも、5年契約では月々数千円台前半、3年契約では後半~倍近くになることもあります。
総支払額
月額は5年リースが割安でも、支払い期間が長い分だけ総額は3年契約より高くなる点に注意が必要です。実際の相場でも、3年リースの総額が約10.8万~18万円程度なのに対し、5年リースでは総額18万~30万円程度と長期契約の方が支払総額は大きくなるデータがあります。つまり、5年リースは月々の負担は軽減できるものの、トータルでは多く支払う可能性が高いということです。
リプレイス周期
3年リースの場合、契約満了ごと(3年ごと)にパソコンを入れ替えるため、常に比較的新しい機種を使い続けられる利点があります。ハード・ソフト両面で最新技術を取り入れやすく、性能面やセキュリティ面で社内IT環境をアップデートしやすいでしょう。
一方、5年リースでは入れ替え頻度が少なく初期設定や廃棄処理の手間を削減できる反面、契約後半の2年間は導入時から年数の経った旧型パソコンを使い続けることになります。
性能面の陳腐化や故障リスク増を許容してでもコスト優先で長く使うのか、それとも費用は上がっても定期的に新しいパソコンに切り替えていくのか、自社の利用状況や重視ポイントに応じて適切な期間を選ぶとよいでしょう。
3年 |
5年 |
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---|---|---|
月額料金 |
5年に比べて高い |
3年に比べて安い |
総支払額 |
5年に比べて安い |
3年に比べて高い |
リプレイス周期 |
常に比較的新しい機種を使い続けられる |
契約後半の2年間は、導入時から
年数の経った旧型パソコンを使い続ける
|
5年のパソコンリースを活用してコストを最適化しよう
長期の5年リース契約にはメリット・デメリットの両面がありますが、自社の状況に合わせて上手に活用できればITコストの最適化に大きく貢献する手段となります。月額費用を最小化しつつ、調達時の初期負担や廃棄処理の手間を軽減できるため、特に限られた予算で多数のパソコンを導入したい中小企業には魅力的な選択肢でしょう。ただし、その反面、性能の陳腐化や故障増加といったリスクも存在するため、コスト削減効果と運用上のリスクを天秤にかけて判断することが重要です。
また、5年という長期契約になる分、リース会社の選定にも注意が必要です。価格面だけでなく、契約内容の明確さやサポート体制、トラブル発生時の対応スピードなども重要なチェックポイントとなります。万一、契約期間中に予期せぬトラブルが起きても、迅速に代替機を手配してくれる、あるいは柔軟にプラン変更の相談に乗ってくれるリース会社であれば安心して5年間の運用を任せられるでしょう。
ぜひ本記事の内容を参考に、5年のリースを賢く活用して、コストの最適化と業務効率化の両立を実現しましょう。
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参考記事:ライフサイクルマネジメント(LCM)サービスとは?企業のIT機器運用管理をサポート
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