
キッティング作業とは?IT担当者必見の業務内容と外注活用術を徹底解説
大量のPCやスマホを一度に導入・展開する際、欠かせないのが『キッティング』と呼ばれる準備作業です。本記事では、そのキッティングの基本から具体的な手順、注意点、さらには外部委託の判断基準まで、IT担当者が押さえておきたいポイントを徹底解説します。
業務効率化やトラブル防止のためにも、しっかりとしたキッティングの知識と戦略を身につけましょう。
目次[非表示]
- 1.キッティングとは?
- 2.キッティングの流れを6つの手順で完全解説!
- 2.1.機器の開梱と外観チェック
- 2.2.OS・ソフトウェアのインストール
- 2.3.セキュリティ設定とネットワーク構成
- 2.4.各種アカウント設定とライセンス管理
- 2.5.動作確認と不具合チェック
- 2.6.出荷・納品・展開サポート
- 3.キッティングを成功させるために知っておくべき注意点
- 4.キッティング対応を外注する6つの判断基準
- 4.1.作業規模(台数・頻度)
- 4.2.社内のリソース(人員・時間)
- 4.3.ITスキルと経験
- 4.4.セキュリティ要件
- 4.5.納期(導入タイミング)
- 4.6.コストとのバランス
- 5.キッティングの最適な戦略で業務効率とトラブル回避を実現しよう
- 6.Macのキッティング外注ならUTORITOにおまかせ!
キッティングとは?
キッティングとは、企業で新たに導入するPCやスマートフォンなどのデバイスを、すぐに業務で使える状態に整える一連のセットアップ作業のことです。
例えば、新入社員の入社時に支給するパソコンや、故障・更新に伴う機器の入れ替えなどで行われます。OSや業務用ソフトウェアのインストールからネットワーク設定、セキュリティ対策まで含まれ、エンドユーザーが受け取った時点でそのまま業務に利用できるようにするのが目的です。
なお、キッティングは一般に「セットアップ」とほぼ同義で使われることもありますが、複数端末を企業環境に合わせて一括設定する業務を指す点で、より包括的な意味合いを持つ用語です。
キッティング作業は企業のIT担当者にとって欠かせない重要業務ですが、手間と時間がかかるうえ、設定ミスがあれば利用者の業務に支障を来たすリスクもあります。
参考記事:キッティングとは?キッティングの基礎知識をわかりやすく解説!
キッティングの流れを6つの手順で完全解説!
では、キッティング作業は具体的にどのような流れで進めるのでしょうか?ここでは一般的なキッティングの手順を6つのステップに分けて解説します。
最初の開梱から最終的な納品・展開支援まで、一連の流れを把握することでミスのないスムーズな導入が可能になります。それぞれのステップで重要なポイントを確認していきましょう。 例えば、新入社員が大量に入社する時期には、多数のPCを一度に準備する必要があり、計画的なキッティング作業が求められます。
機器の開梱と外観チェック
まずは対象となる機器を開梱し、中身を確認します。パソコン本体のほか、電源ケーブルやアダプタ、付属品など必要なものがすべて揃っているかチェックしましょう。
同時に、外観にキズや破損がないかを念入りに検品します。万が一初期不良や破損が見つかった場合は、この段階でメーカーへの交換依頼など適切に対処します。開梱・外観チェックを徹底することで、不良品の使用や後工程でのトラブルを未然に防げます。
また、機器の型番やシリアル番号が発注内容と合致しているか確認し、必要に応じて資産管理台帳への登録もこの段階で行っておくと良いでしょう。
OS・ソフトウェアのインストール
次に、端末にOSや必要なソフトウェアをインストールします。購入時にOSがプリインストールされている場合でも、初期設定や最新バージョンへのアップデートが必要です。Windows PCなら地域と言語の設定やライセンス認証、Macなら初期設定ウィザードの完了など、OSを業務利用に適した状態にセットアップします。
その後、業務に必要なアプリケーションを漏れなく導入しましょう。Officeスイートやメールクライアント、チャットツール、ブラウザなど、部署ごとに必要なソフトをインストールします。インストール時には各ソフトのライセンスキー入力や初期設定も済ませ、ユーザーがすぐ使えるように準備します。
なお、複数台を一度にセットアップする場合は、マスターPCのイメージを複製して展開すれば効率的です。ただし、機種や構成によってイメージを適用できない場合もあるため、事前にテストを行いましょう。また、新品PCにプリインストールされている不要ソフトがあればこの段階でアンインストールし、クリーンな環境に整備します。
セキュリティ設定とネットワーク構成
OS・ソフトの導入後は、セキュリティ対策とネットワークの設定を行います。まず、社内ポリシーに沿ったセキュリティ設定を適用しましょう。例えば、ウイルス対策ソフトの導入、OS標準ファイアウォールの有効化、ストレージ暗号化の設定などが挙げられます。不要なサービスの無効化や、利用者によるソフトウェアインストール制限などのポリシー設定も必要に応じて実施します。
セキュリティ強化と並行して、ネットワークへの接続設定も構成します。有線LANの場合はLANケーブルを接続し、IPアドレスやプロキシ設定が必要なら適切に行いましょう。Wi-Fi利用の場合は社内のSSIDとパスワードを設定し、安定して社内ネットワークやインターネットに接続できることを確認します。また、端末を社内ドメイン(Active Directory)に参加させ、グループポリシーなどを適用できるようにすることも有効です。
セキュリティとネットワークを確実に設定することで、安全かつ社内システムに支障なく繋がる端末環境を整えます。
各種アカウント設定とライセンス管理
続いて、各種アカウントの設定とソフトウェアライセンスの管理を行います。ユーザーが業務で使うためのログインアカウントを端末に設定しましょう。Windows PCならユーザーアカウントを作成したりドメインユーザーのプロファイルをセットアップしたり、Macならユーザーアカウントを登録します。メールやグループウェアなどのアカウント情報も事前に設定しておけば、ユーザーは受け取ってすぐに各種サービスを利用できます。
ソフトウェアのライセンス管理もこの段階で重要な作業です。インストールしたOffice製品やセキュリティソフトなど、有償ソフトウェアのライセンス認証が未実施であれば確実にアクティベーションします。複数台のPCをキッティングする場合は、どの端末にどのライセンスを割り当てたか台帳で管理しておくと、後々の監査や運用で混乱を防げます。また、OS自体のライセンス(ボリュームライセンスやOEMライセンス)についても一括管理し、ライセンス切れや認証漏れがないよう注意します。
動作確認と不具合チェック
設定が一通り完了したら、実際に端末を操作して動作確認を行います。まず再起動を実施し、OSが正常に立ち上がるか、ログイン画面まで問題なく進むかを確認します。
続いて、インストールしたソフトウェアをいくつか起動してみて、ライセンス認証の状態や初回起動時のエラーがないかチェックしましょう。ネットワーク接続も再度テストし、社内システムへのアクセスやインターネット閲覧が可能か確認します。
周辺機器の接続もテスト項目に含めます。必要に応じて外付けディスプレイやキーボード・マウス、プリンターなどを接続し、認識と動作に問題がないか確認します。特にプリンターやスキャナはドライバー設定後に試し印刷やスキャンを行い、正常に機能することを確かめます。
これらの動作確認で不具合が見つかった場合は、原因を特定して設定の見直しやドライバー再インストールなどの対処を施します。入念なチェックによって、ユーザーに渡った後で「使えない!」という事態を防ぐことができます。
出荷・納品・展開サポート
最終チェックが完了したら、いよいよユーザーへの出荷・納品作業です。まずキッティング済み端末を丁寧に梱包し直し、輸送中の衝撃で設定済み機器が故障しないよう配慮します。複数台を展開する場合は、端末ごとに識別できるラベリングを行い、配布先や担当者がひと目で分かるようにしておきましょう。
納品時には、受け取った利用者がスムーズに使い始められるようサポートすることも大切です。例えば、初回ログイン用のユーザー名・仮パスワードを同封したり、セットアップ手順書や問い合わせ先(ヘルプデスクの連絡先)を案内したりします。遠隔地の拠点に配送した場合は、リモートでの展開サポートを実施し、現地での接続設定や初期ログインに不明点があれば即座に対応しましょう。さらに、配送した端末については荷物の追跡や到着確認を確実に行い、利用者に問題なく渡ったことを見届けましょう。
ここまでを徹底することで、キッティングされた端末が各利用者の手元で確実に稼働し、業務が滞りなく開始できるようになります。
参考記事:キッティングのやり方を徹底解説|PC設定の方法・作業手順・効率化のコツまで網羅
キッティングを成功させるために知っておくべき注意点
キッティング作業を円滑に進めるためには、いくつか注意しておくべきポイントがあります。どんなに準備万端に進めたつもりでも、予期せぬトラブルが発生する可能性はゼロではありません。実際、熟練した担当者であっても些細な見落としが思わぬ問題につながるケースがあります。
さらに、トラブルを予防するには事前準備も欠かせません。作業手順書を用意して段取りを確認し、余裕を持ったスケジュールを組むなど綿密な計画を立てておきましょう。
ここでは、過去のトラブル事例から学ぶべき教訓や、キッティング時のミスがもたらすリスクについて解説します。
トラブル事例に学ぶ:想定外のエラー対応
キッティングでは想定外のエラーやトラブルに見舞われることがあります。
その一例として、OSセットアップ中に予期せぬエラーメッセージが表示されインストールが中断してしまうケースが挙げられます。原因はドライバーの非互換やネットワーク設定ミスなど様々ですが、トラブル発生時には焦らず冷静に原因を切り分け、迅速に対処することが重要です。
また、キッティング途中に端末自体のハードウェア不良が判明し、急遽交換対応が必要になるケースも考えられます。複数台を同時にセットアップしている場合、一台で起きた不具合が他の端末にも影響を及ぼす可能性があります。例えば、マスターイメージの不備があれば全端末で同じ問題が発生しかねません。
このような事態に備え、キッティング作業では事前に手順をリハーサルしたり、予備の代替機やバックアップイメージを用意しておくと安心です。
過去のトラブル事例を検証し、再発防止策をドキュメント化しておくことも、同様のエラーに迅速に対応する助けとなります。
キッティングミスが業務停止を招くリスク
キッティングにおける小さなミスが、現場の業務を止めてしまうリスクにも注意が必要です。たった一つの設定漏れや誤設定によって、「必要なソフトが使えない」「ネットワークに繋がらない」といった状況が発生すると、ユーザーは業務を進められなくなります。その問題解決のためにIT担当者が急遽対応に追われれば、本来の業務にも影響が及びかねません。
例えば、Wi-Fiのパスワード設定を間違えただけで社員がネットにアクセスできず仕事が滞る、セキュリティソフトの適用漏れでウイルス感染リスクが高まり緊急対応に追われる、重要なアプリのライセンス認証忘れでユーザーがソフトを使えない──このように、キッティング時のミスは様々なトラブルの引き金となり得ます。場合によっては、復旧までの間その端末を使った業務が完全にストップしてしまうこともあるでしょう。
キッティング作業では「ミスが許されない」という意識で臨み、チェックリストに基づく確認や複数人でのクロスチェックを行うなど、ミス防止策を徹底することが大切です。
キッティング対応を外注する6つの判断基準
ここまで自社でのキッティング作業について説明しましたが、実際には「自前でやるべきか、外部に依頼すべきか」で悩む担当者も多いでしょう。自社対応には柔軟さや直接管理できる安心感がある一方、外注には効率化や専門ノウハウの活用といったメリットがあります。
では、どういった場合に外注を検討すべきなのでしょうか。以下に、キッティング対応を外部委託するか判断する際に押さえておくべき6つの基準を紹介します。もちろん、外部業者を選定する際には、実績や信頼性を見極めることも重要です。
作業規模(台数・頻度)
まずは、キッティングが必要な機器の台数や発生頻度を見極めましょう。年間で数台程度の新規導入や交換しかないのであれば、社内の手作業でも十分対応可能かもしれません。
しかし、新入社員の大量入社や全社的なPCリプレースなど、一度に何十台・何百台ものデバイスをセットアップする場合はどうでしょうか。当然ながら台数が増えるほど作業負荷は莫大になります。限られた人数で短期間にこなすのは難しく、設定ミスのリスクも高まります。
キッティング対象の規模が大きい、あるいは頻繁に発生するようなケースでは、専門業者への外注を検討する価値が高いでしょう。実際、数百台規模のPC更換プロジェクトでは、自社だけで対応しきれず外注を活用するケースも多く見られます。
社内のリソース(人員・時間)
次に、社内の人的リソースと時間的な余裕も重要な判断基準です。情シス担当者の人数が少なく他業務で手一杯の場合、大量のキッティング作業を自社だけで回すのは困難です。キッティングに人手を取られる間、セキュリティ管理やユーザーサポートなど他の重要業務が後回しになってしまう恐れもあります。限られた人員で無理に対応すると残業や応援要員の動員が必要になり、結果的にコスト増にもつながりかねません。
社内リソースに余裕がないと感じたら、外注でプロの力を借りて負担を軽減することを検討しましょう。また、中小企業では情シス担当者が一人しかおらず、そもそもキッティングに十分な時間を割けないという状況も珍しくありません。
ITスキルと経験
自社チームのITスキルやキッティング作業の経験レベルも、外注判断のポイントになります。例えば、大量のPCを一括展開するためのクローン作成やスクリプト自動化のノウハウ、最新OSやセキュリティソフトの専門知識などが社内になければ、効率的かつ確実なキッティングは難しいかもしれません。過去に同規模のキッティングプロジェクトを成功させた実績があるなら自社対応も可能でしょうが、未経験の作業が多い場合はリスクが伴います。
一方、外注先の業者は様々な企業向けにキッティングをこなしてきたプロ集団です。専門知識と豊富な経験に裏打ちされたサービスを利用すれば、自社にはない技術やベストプラクティスを活用でき、結果的に高品質なセットアップが期待できます。
例えば、社内でWindows PCとMacを併用している場合、それぞれで設定方法や使用する管理ツールが異なるため幅広い知識が求められます。経験のない作業を手探りで進めれば、その分時間がかかりミスのリスクも高まるでしょう。
セキュリティ要件
セキュリティの観点も無視できません。社内規程や業界標準で定められた厳格なセキュリティ要件がある場合、その基準を満たすキッティングが行えるかを考慮しましょう。自社内で対応する場合は、情報漏えいや設定ミスが起きないよう十分な体制を整える必要があります。外注を検討する際には、依頼する業者がセキュリティ管理を徹底しているか、機密保持契約(NDA)を結べるか、データ消去や廃棄処理まで含めて信頼して任せられるかを見極めます。
特に金融業や医療業界などでは、端末設定の外部委託に厳しい規制があったり、作業場所にも高いセキュリティ基準が求められるケースがあります。ただし、社内にセキュリティ専門の人材が不足しているのであれば、セキュリティ対策に精通した外注先に任せることで、より確実な対策を講じられるというメリットもあります。
納期(導入タイミング)
導入までのスケジュールや納期も判断材料となります。例えば、新拠点開設や年度始めのタイミングで多数の端末を一斉に展開する場合、限られた期間で全てのキッティングを終わらせなければなりません。社内リソースだけで短期間に対応するのが難しい場合、外注することで納期遵守の安心感が得られます。専門業者であればプロジェクト体制を組んでタイトなスケジュールにも対応してくれるため、重要なタイミングの導入でも遅れが生じにくいでしょう。
一方、導入時期にある程度ゆとりがあり段階的に配備できるなら、社内で計画的に進める選択肢も現実的です。要は、要求される納期に対し確実に間に合わせられる体制かどうかを見極め、その上で外注の必要性を判断することが大切です。キッティングが間に合わず、新人研修用のPCが初日に用意できていない…という事態は避けたいものです。
コストとのバランス
最後に、費用対効果のバランスです。外注すれば一台あたりのキッティング費用が発生しますが、その代わりに社内工数の削減やミスによる手直しコストの抑制といった効果が得られます。社内対応の場合、一見コストを削減できるように思えますが、担当者の残業代や臨時スタッフの手配、他業務が滞ることによる機会損失など、見えにくいコストも存在します。
純粋な外注費用と社内対応の人件費を比較するだけでなく、アウトソーシングによって得られる業務効率化や品質向上のメリットも考慮に入れましょう。特に本来の業務に注力すべき情シス部門のスタッフがキッティングに追われてしまう状況は、長期的に見ると大きな損失です。
コストと効果のバランスを総合的に判断し、自社にとって最適な選択をすることが重要です。大量導入のタイミングでは一時的にコストがかさんでも、外注により後々の運用負荷を大幅に軽減できる場合もあります。
参考記事: PCのキッティング料金はいくら?費用相場や外注テクニックも紹介
キッティングの最適な戦略で業務効率とトラブル回避を実現しよう
キッティングは地味ながらも企業のITインフラ運用において欠かせない重要プロセスです。適切な手順に沿って確実に作業を行えば、エンドユーザーは端末受け取り後すぐに業務を開始でき、生産性向上に直結します。また、注意点を踏まえてミスを防ぐことで、後から慌ててトラブル対応に追われる事態も避けられるでしょう。
自社の状況に合った最適な戦略でキッティングを実施することが大切です。社内リソースとスキルが十分なら社内で効率化を図りつつ進め、難しい場合は専門の外注サービスを賢く活用するなど、柔軟に判断しましょう。
その結果、情シス担当者は本来注力すべき業務に専念でき、社員全体のIT環境も安定していきます。将来的なデバイス増加にも柔軟に対応できる体制を整え、情シス部門の負担軽減と企業の生産性向上につなげていきましょう。
ぜひ本記事の解説を参考に、自社にとってベストなキッティング体制を整え、業務効率化とトラブル回避を実現してください。情シス担当者は、本記事のポイントを活用し、キッティングの効率化を実践してください。
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