catch-img

PCの再キッティング作業とは?業務効率化のための完全ガイド

ビジネスにおけるPCのライフサイクル管理では、定期的なメンテナンスや再セットアップが欠かせません。その中でも、再キッティングと呼ばれる作業は、一度使用したPCを再び業務で使える状態に整え直す重要なプロセスです。PCを効率的に再利用し、コスト削減とセキュリティ確保を両立するために、再キッティングの知識は情報システム担当者にとって必須と言えるでしょう。 

本記事では、再キッティングの定義と必要性から、具体的な手順、注意点、効率化の方法、さらにはアウトソーシング時のポイントまで、業務効率化に役立つノウハウを解説します。ぜひ自社のIT資産運用にお役立てください。 


目次[非表示]

  1. 1.再キッティングとは?その定義と必要性を解説 
    1. 1.1.再キッティングの必要性 
    2. 1.2.再キッティングと初期キッティングの違い 
  2. 2.再キッティングの主な作業手順 
    1. 2.1.【STEP1】データのバックアップとデバイスの初期化 
    2. 2.2.【STEP2】OSの再インストール 
    3. 2.3.【STEP3】基本ソフトウェアのインストール 
    4. 2.4.【STEP4】ネットワーク・セキュリティ設定とポリシーの適用 
    5. 2.5.【STEP5】資産管理台帳への再登録 
  3. 3.再キッティング時の注意点 
    1. 3.1.ライセンス管理の確認 
    2. 3.2.データ消去の徹底 
    3. 3.3.ハードウェアの動作確認 
  4. 4.再キッティングを効率化する3つの方法 
    1. 4.1.クローニングツールの活用 
    2. 4.2.自動化スクリプトの利用 
    3. 4.3.MDMの導入 
  5. 5.再キッティングをアウトソーシングする際のポイント 
    1. 5.1.アウトソーシングのメリットとデメリット 
    2. 5.2.アウトソーシング先選定のポイント 
  6. 6.再キッティングで業務効率を最大化しよう 
  7. 7.再キッティングに関するよくある質問 
  8. 8.再キッティングもUTORITOにおまかせ 


再キッティングとは?その定義と必要性を解説 

まず再キッティングとは、一度業務で使用したPCを初期化し直し、再度すぐに使える状態にセットアップする作業のことです。新品導入時に行う初期キッティングと基本的な工程は同じですが、再利用するPCに対して改めてOSやアプリのインストール、ネットワーク設定、セキュリティ設定、IT資産管理台帳への登録などを行い、従業員が安心して利用できるよう再準備するのが再キッティングです。 


再キッティングの必要性 

企業ではPCの入れ替えや人事異動、退職者の発生などに伴い、使用済みのPCを別の用途や新たな従業員に再利用する場面が多々あります。新品PCを毎回購入するより、既存PCを再キッティングして活用することでコスト削減につながり、IT資産を有効活用できます。

また、新規入社や急な増員の際に新しいPCの調達が間に合わない場合でも、社内在庫のPCを再キッティングすれば迅速に現場へ投入可能です。さらに、再キッティングによって過去の利用者のデータを確実に消去し、セキュリティを担保した状態で次の利用者に引き渡せるため、情報漏えい防止の観点からも重要です。 

総じて、再キッティングはPCのライフサイクルを延ばし、コスト最適化とセキュリティ強化を同時に実現するために必要不可欠な取り組みと言えます。 


再キッティングと初期キッティングの違い 

初期キッティングが新品デバイスに対して行う初回のセットアップ作業であるのに対し、再キッティングは既に使用されたデバイスを再度セットアップする点が異なります。

初期キッティングではメーカー出荷直後のPCを開梱し、OSセットアップや業務用ソフトのインストール、ネットワーク接続設定、動作確認、資産台帳への登録までを一通り行います。 一方、再キッティングでは開梱作業は不要ですが、データ消去やOSの再インストールといった工程が追加されます。

また、再キッティング時にはハードウェアの劣化状況や保証期限にも留意する必要があります。例えば、バッテリーの状態確認や必要に応じた交換、内部清掃など、新品導入時には不要だった作業が発生する点も違いです。ただし、基本的には再キッティングも初期キッティングも、最終的に「PCをすぐ業務で使える状態にする」という目的と作業内容は共通しています。 


再キッティングの主な作業手順 

一般的な再キッティング作業は、以下の5つのステップで進めます。それぞれの工程で適切な手順を踏むことで、スムーズかつミスのない再キッティングが実現できます。 


【STEP1】データのバックアップとデバイスの初期化 

まずは、PC内に残っている重要データのバックアップを行います。前使用者の業務データや設定が必要であれば、安全なストレージやサーバーへ退避させましょう。

バックアップが完了したら、デバイスの初期化を実施します。具体的には、PCを工場出荷状態に戻すか、ストレージをフォーマットしてOS環境を一度まっさらな状態にします。初期化により過去の利用履歴や個人データを完全に消去し、新しい利用者に引き継ぐ準備が整います。バックアップと初期化の実施は、次の工程以降の作業の土台となります。 


【STEP2】OSの再インストール 

初期化後のPCに、改めてOS(基本ソフトウェア)をインストールします。業務で必要とされる適切なOSバージョンを選択し、インストールウィザードに従ってセットアップを完了させます。Windows PCであれば企業内の標準イメージやインストールメディアを使用し、MacであればmacOSユーティリティから再インストールを行うのが一般的です。

OSのインストール後は最新のアップデートを適用し、基本設定(言語や時刻、キーボードレイアウト、管理者アカウントの設定など)を済ませます。再インストール作業を通じて、PCをクリーンかつ安全な初期状態に戻し、新たな利用開始の準備を整えます。 


【STEP3】基本ソフトウェアのインストール 

OS環境が整ったら、次に業務に必要な基本ソフトウェア(アプリケーション)のインストールを行います。具体的には、オフィススイート(例:Microsoft 365アプリ)、ブラウザ、メールクライアント、PDF閲覧ソフト、チャットツールなど、社員が日常業務で使用するソフトを一通り入れておきます。 

また、ウイルス対策ソフトやエンドポイント管理エージェントなどのセキュリティ関連ソフトもここで導入します。各ソフトウェアはライセンス認証や最新版へのアップデートも忘れずに実施しましょう。必要最低限のソフトを事前にインストールしておくことで、利用者はPC受領後すぐに業務を開始でき、セットアップに時間を取られることがなくなります。 


【STEP4】ネットワーク・セキュリティ設定とポリシーの適用 

ソフトウェアの準備が完了したら、PCを社内環境で安全に使うためのネットワーク設定とセキュリティ設定を行います。まず、社内ネットワーク(有線LANやWi-Fi)への接続設定を実施し、必要に応じてドメイン参加やVPN設定も行います。続いて、企業のセキュリティポリシーに沿った各種設定を適用します。

また、最新のセキュリティパッチ適用状況を確認し、不足があればアップデートを適用します。さらに、必要に応じて業務で使用するクラウドサービスへのシングルサインオン設定や認証局証明書のインストールなど、社内システムとの連携設定も行います。

ネットワークとセキュリティの設定を適切に施すことで、新たな利用者が安心して業務に取り組めるPC環境が整います。 


【STEP5】資産管理台帳への再登録 

最後に、PCの情報をIT資産管理台帳へ登録(または更新)します。再キッティングによってPCの利用者や設置場所、用途が変わる場合は、台帳上の登録情報も最新に改めましょう。具体的には、PCの製品名・シリアル番号、担当者名、部署、設置拠点、インストールされたOSや主要ソフトのバージョンなどを記録します。 

併せて、資産管理システムを導入している場合はそのシステム内でも情報を更新します。アウトソーシングサービスを利用するケースでは、業者から納品時に資産情報一覧のレポートを受け取り、それを基に台帳を更新することも可能です。資産台帳への正確な再登録を行うことで、企業内のIT資産状況を適切に把握・管理でき、ライフサイクル管理や監査対応にも役立ちます。 


再キッティング時の注意点 

再キッティング作業を行う際には、いくつか留意すべきポイントがあります。以下の点に注意しながら作業を進めることで、トラブルを防ぎ、安全かつ効率的な再キッティングが実現できます。 


ライセンス管理の確認 

OSやソフトウェアのライセンス管理は、再キッティング時に見落としがちなポイントです。再インストールしたOSが正しくライセンス認証されているか確認しましょう。特にWindowsの場合、OEM版OSは同一PCで再利用可能ですが、ボリュームライセンス版やサブスクリプション版では適切なライセンス適用が必要です。 

また、Office製品やAdobe製品などのソフトウェアも、新しい利用者に合わせてライセンスの移行や再認証を行います。クローニングなどで一括設定する場合は、複製される各ソフトのライセンス条項を事前に確認し、違反とならないよう注意が必要です。例えば、同一のプロダクトキーを複数PCで使い回すことは避け、一台一台正規のライセンスを適用します。

再キッティング後も「ソフトがライセンス切れで使えない」といった事態にならないよう、事前に綿密なライセンス確認と管理を徹底しましょう。 


データ消去の徹底 

前利用者のデータ消去は、セキュリティ上最も重要な注意点の一つです。単にファイルを削除しただけではデータが復元される可能性があるため、専用のデータ消去ソフトウェアを用いるか、ストレージを暗号化のうえ初期化するなど、完全消去を行います。

社内再利用の場合でも、個人情報や機密情報が残っていない状態にすることが基本です。特にPCを社外に返却したり、リースアップ機を売却・廃棄したりする際には、社外に情報が漏洩しないよう認定業者のデータ消去サービスを利用することも検討しましょう。データ消去証明書の発行に対応したサービスを使えば、万一の際の監査証跡にもなります。 

また、ソフトウェア上のデータだけでなく、ブラウザのキャッシュや一時ファイル、SSDに残存するリカバリ領域のデータにも注意が必要です。再キッティングでは「消したつもり」のデータが後から復元されるリスクをゼロにするために、徹底したデータ消去を実践してください。 


ハードウェアの動作確認 

再キッティング後はもちろん、作業の前後でPCのハードウェア動作確認を入念に行いましょう。具体的には、電源が正常に入切できるか、ディスプレイ表示に異常がないか、キーボードやマウス、タッチパッドが問題なく動作するかなどをチェックします。

特に再キッティング対象が数年間使用されたPCの場合、内部清掃やバッテリーのヘルスチェックも重要です。必要に応じて内蔵電池のリフレッシュや増設メモリの挿抜確認、ストレージの健康状態(エラーチェック)を実施します。

再キッティング完了後には、インストールしたアプリケーションが正常に起動・動作するか、ネットワークに問題なく接続できるかもテストしましょう。これらのハードウェア・ソフトウェア両面の動作確認によって、不具合を利用者に引き継ぐことを防ぎ、スムーズに業務開始することができるでしょう。 


再キッティングを効率化する3つの方法 

社内で多数のPCを扱う場合や、限られた人数で再キッティングを行う場合、作業を効率化する工夫が欠かせません。ここでは、再キッティングを効率的かつ迅速に進めるために有効な3つの方法をご紹介します。 


クローニングツールの活用 

複数のPCをまとめてセットアップするには、クローニングツール(イメージコピー)の活用が効果的です。

マスター用のPCを一台セットアップし、そのディスクイメージを他のPCに複製することで、一度に大量のPCを短時間でキッティングできます。手作業で一台ずつ設定する場合と比べて、全体の作業効率が飛躍的に向上します。代表的なクローニングツールとして、ClonezillaやAcronis Snap Deploy、Symantec Ghostなどが挙げられます。これらを用いれば、USBメディアやネットワーク経由で一括展開が可能です。 

ただし、マスターイメージの作成には高度な設定スキルが要求されるほか、OSやソフトのライセンスにも注意が必要です(複製先の各PCで個別にライセンス認証を行うなど)。クローニングツールを適切に使いこなせば、質の高い標準環境を短時間で複製でき、再キッティング作業の大幅な省力化につながるでしょう。 


自動化スクリプトの利用 

再キッティングの一連の操作をスクリプト化して自動化することも有効な方法です。例えば、Windows環境であればPowerShellやバッチファイル、Linux/Mac環境であればシェルスクリプトを用いて、ユーザーアカウントの作成や各種設定変更、ソフトウェアのインストールを自動実行することが可能です。事前に自動化スクリプトを用意しておけば、PCごとにコマンドを実行するだけで繰り返しの設定作業を省略できます。 

自動化により人為的ミスの減少と時間短縮が期待できますが、スクリプトの内容は環境に合わせて慎重にテストし、確実に動作するよう整備しておくことが大切です。一度自動化の仕組みを構築すれば、再キッティングのみならず初期キッティングや日常のPC管理業務全般の効率化にも役立つでしょう。 


MDMの導入 

近年ではMDM(Mobile Device Management)ツールの導入により、PCセットアップ作業自体を大幅に簡略化できるようになっています。MDMを活用すると、新しいPCをネットワークに接続して初期登録するだけで、必要な設定やソフトウェアのインストールが自動的に適用されます。MDMにより、これまで2〜3時間かかっていたPCのセットアップ作業がわずか15分程度で完了したケースも報告されており、大量展開時の作業負荷軽減に絶大な効果があります。 

加えて、MDMを通じてデバイスを一元管理できるため、再キッティング後のデバイスに対してもリモートでポリシー変更やアプリ配布、紛失時の遠隔ワイプ指示などが行えます。再キッティングの頻度が高い環境では、MDMを導入することでトータルの運用効率とセキュリティレベルを飛躍的に向上させることができるでしょう。 

参考記事:MDMでキッティングを効率化!キッティングにおけるMDMの重要性を解説! 


再キッティングをアウトソーシングする際のポイント 

自社内で再キッティングを行うのが難しい場合や、専門業者のノウハウを活用して効率化を図りたい場合には、作業のアウトソーシング(外部委託)も選択肢の一つとなります。ここでは、再キッティング業務をアウトソーシングするメリット・デメリットと、委託先を選定する際に確認すべきポイントを解説します。 


アウトソーシングのメリットとデメリット 

専門業者に委託する主なメリットは、社内負担の大幅軽減と作業品質の向上です。大量のPCセットアップも短期間で正確に完了し、情シス担当者は本来業務に専念できます。 

一方、デメリットとしてはコストが発生する点と、自社にノウハウが蓄積されにくい点が挙げられます。アウトソーシングには台数分の費用がかかり、人件費との比較検討が必要です。また、委託により設定知識が社内に残らない恐れがあるため、報告書の受け取りなど情報共有の工夫が重要です。 

参考記事:情シスの業務をアウトソーシング!委託可能な業務やメリット・デメリットも解説 


アウトソーシング先選定のポイント 

外部業者を選定する際は、以下の点を確認しましょう。 


実績・対応規模
これまでのキッティング実績や対応可能な台数・デバイス種別を確認する
サービス範囲
OSセットアップ以外に資産台帳登録代行、デバイスの配送・廃棄対応まで含むか
セキュリティ対策
データ消去や情報漏えい防止策など、安全管理体制がしっかりしているか
費用
見積もりを取り、1台あたりの単価やトータルコストを社内工数削減効果と比較
ノウハウ共有
設定内容の資料提供など、自社に知識が残るよう配慮があるか

これらを総合的に検討し、信頼できるアウトソーシング先を選びましょう。 


再キッティングで業務効率を最大化しよう 

PCの再キッティング作業は、企業が保有するIT資産を有効活用し、コスト削減と業務効率化を図る上で欠かせない取り組みです。本記事で解説したように、再キッティングの定義と必要性を正しく理解し、適切な手順と注意点を踏まえて実践することが重要です。

さらに、クローニングツールや自動化スクリプト、MDM導入といった効率化の工夫や、専門業者の活用による負荷軽減も積極的に検討しましょう。これらを組み合わせることで、PC運用管理にかかる時間と手間を大幅に削減しつつ、セキュリティと品質を維持できます。

再キッティングを上手に活用し、PCライフサイクル管理の最適化を通じて貴社の業務効率を最大化しましょう。 


再キッティングに関するよくある質問 

最後に、再キッティングやキッティング作業全般に関して、よく寄せられる質問とその回答を紹介します。 


Q. キッティングとセットアップの違いはなんですか? 

「キッティング」と「セットアップ」はしばしば同義のように使われますが、厳密には指す範囲に違いがあります。

セットアップは一般にOSの初期設定やソフトのインストールなど、デバイスを使えるように基本設定する作業を指します。 一方、キッティングはセットアップ作業も含めて、ネットワークやセキュリティ設定、業務アプリの導入、周辺機器の接続設定、管理台帳への記載など、社員がすぐ業務に使える状態にデバイスを仕上げる一連の作業を指します。 

要するに、セットアップがOSの準備に主眼を置くのに対し、キッティングはその後の細かな調整まで含めた包括的な準備作業だと考えるとよいでしょう。ただし現場では両者を明確に区別せず「セットアップ=キッティング」として扱うケースも多く、言葉の使い方は文脈によって異なる場合があります。 


Q. PCキッティングに必要な知識は何がありますか? 

PCキッティングには幅広いIT基礎知識が必要です。具体的には、WindowsやmacOSなどOSのインストールと基本設定に習熟していること、主要な業務ソフトのインストールやライセンス管理の知識、ネットワーク設定(IPアドレスやドメイン参加、Wi-Fi・VPN接続)の知識、そしてセキュリティ対策(ウイルス対策ソフト設定、暗号化、ファイアウォール等)の知識が求められます。

加えて、PowerShellスクリプトの作成やMDMツール活用など、作業効率化のスキルがあると理想的です。特別な資格は不要ですが、OS・ソフト・ネットワーク・セキュリティ全般に精通した人材が適任と言えるでしょう。 


再キッティングもUTORITOにおまかせ 


株式会社Tooが提供するUTORITOは、デバイスの調達から保守・リプレイスまでを任せられるアウトソーシングサービスで、キッティング、再キッティングのご支援にも対応しています。 

TooはAppleの正規販売店として約40年の歴史があり、Apple製品およびプラットフォームに精通した専任チームによる導入コンサルテーションや、Windowsとの混在環境におけるMac導入検証の実行支援などを提供しています。このような豊富な支援実績からお客様ごとに最適で柔軟なキッティングをご提案いたします。 

Macのキッティングにお困りでしたらぜひ一度お問い合わせください。 




CONTACT

デバイス運用の煩雑な業務を
UTORITOにアウトソーシングしませんか?

\今ならキッティング作業の効率化・自動化等、情シス業務の負担軽減に関する完全解説ガイドを限定配布中!/

まずはお気軽にご相談(無料)

5分でわかる!UTORITO

お電話でのお問い合わせはこちら

平日10:00~17:00