
LCMサービスとは?導入前に抑えるべきポイントと失敗しない選び方
企業のIT運用に欠かせないPCやモバイル端末。しかし、導入から運用、そして廃棄に至るまでの管理業務には、想像以上の手間とコストがかかっています。「もっと効率よく、かつ安全にIT機器を管理できないか?」そんな悩みを抱える情シス担当者や経営層の方も多いのではないでしょうか。
そこで注目されているのが「LCMサービス」です。本記事では、LCMサービスの基本から導入時の注意点、失敗しない選び方までを解説します。
目次[非表示]
- 1.LCMサービスとは
- 2.LCMサービスでできること
- 3.LCMサービスがなぜ今、企業で注目されているのか?
- 4.LCMサービスを活用する7つのメリット
- 4.1.1.IT資産の可視化と管理負担の削減
- 4.2.2.人的リソースをコア業務に集中できる
- 4.3.3.セキュリティリスクの低減と運用品質の安定
- 4.4.4.コスト最適化による経営効率の向上
- 4.5.5.デバイスのライフサイクル最適化による長寿命化
- 4.6.6.BCP・災害対策にも有効なデータ保全管理
- 4.7.7.情報漏えいリスクを回避する安全な廃棄対応
- 5.LCMサービス導入にあたってよくある3つの失敗
- 5.1.1.業務範囲の認識違いによるミスマッチが発生
- 5.2.2.自社ルールとの不整合で現場が混乱
- 5.3.3.コストだけで選んで機能不足
- 6.LCMサービスを選ぶ際に見るべき3つのポイント
- 7.LCMサービスの導入で業務改革を!まずは小さく始めてみよう
- 8.LCMサービスならUTORITO
LCMサービスとは
LCMサービスとは、「Life Cycle Management(ライフサイクルマネジメント)」の略称で、企業におけるIT資産の調達から廃棄まで、ライフサイクル全体を一貫して管理・支援するアウトソーシングサービスのことです。ハードウェアの選定から導入、運用、最終的な処分に至るまでIT機器管理のあらゆるプロセスを包括するため、IT運用業務の効率化やコスト削減などの効果が期待できます。
LCMサービスでできること
LCMサービスでは、PCやスマートフォン、タブレット、無線LAN機器など様々なIT機器を対象に、以下のようなライフサイクル業務をまとめて代行できます。
調達:社内要件に合ったIT機器の選定、購入やリース契約の手配
導入:新規デバイスのキッティング(初期設定やソフトインストール)代行、設置・配備作業
運用:資産管理台帳の整備、ヘルプデスク対応、故障時の修理・交換対応、増設時のセットアップ
廃棄:使用済みデバイスの回収・データ消去、下取り・リサイクル手配、安全なデバイス処分
このようにLCMサービスを活用すれば、情報システム担当者に代わってIT資産管理の煩雑なプロセスをワンストップで任せることが可能です。
LCMサービスがなぜ今、企業で注目されているのか?
近年はDXの進展や、コロナ禍以降のリモートワーク普及により、企業で利用するIT機器の数と種類が飛躍的に増加しました。PCやモバイル端末に蓄積されるデータ量も増え、資産管理やセキュリティ対策の重要性が高まっています。
一方で、毎年の人員増減やデバイスの更新に伴いIT資産管理の負荷も増大し、自社だけですべてを適切に運用することが難しくなってきました。こうした背景からIT管理業務の負担軽減やセキュリティリスク低減、コスト最適化を目的にLCMサービスを導入する企業が増えており、今や欠かせないアウトソーシングサービスとして注目されています。
LCMサービスを活用する7つのメリット
1.IT資産の可視化と管理負担の削減
LCMサービスを導入すると、社内の全IT資産の情報を一元管理できるため、IT機器の稼働状況や所在を可視化できます。すべてのデバイスの状態や利用状況を統一プラットフォームで把握でき、運用管理業務の効率化や迅速な意思決定にも役立ちます。
また、各種ライフサイクル業務の多くを専門業者にアウトソースできるため、情報システム部門の日常的な管理負担が大幅に軽減します。キッティングやヘルプデスク対応など定型業務から解放され、担当者は他の業務に時間を充てられるようになります。
2.人的リソースをコア業務に集中できる
IT資産管理を外部に任せることで、社内の人的リソースを本来のコア業務に集中させることができます。例えば一部のLCMサービスではヘルプデスク業務まで代行可能であり、情報システム担当者はシステム企画やDX推進など付加価値の高い業務に専念できるようになります。
専門知識を持つ人材が不足しがちな昨今、自社で抱える代わりにアウトソーシングを活用すれば、人材採用や教育にかかる負担も削減でき、生産性向上やコア業務への注力につなげられるでしょう。
3.セキュリティリスクの低減と運用品質の安定
LCMサービスの利用により、社内のIT資産に対するセキュリティ水準を全体的に底上げできます。例えば、全デバイスのセキュリティ設定を統一し、OSやソフトウェアを適切に更新することで、未パッチ状態の放置やデバイスごとの設定ばらつきによるセキュリティホールを防げます。
また、専門業者が各デバイスの利用状況を監視してライセンス違反や不正ソフトのインストールをチェックするなど、コンプライアンス遵守の徹底も可能です。さらに、IT機器の設定や環境を標準化することで安定したIT運用環境を確立できます。万一トラブルや故障が発生した場合でも、LCMサービス経由で専門的なサポートを受けて迅速に復旧できるため、業務への支障を最小限に抑えられる点も大きなメリットです。
4.コスト最適化による経営効率の向上
LCMサービスを活用すれば、IT資産管理にかかるトータルコストの最適化が期待できます。専門知識を持ったスタッフの確保や育成には多大なコストがかかりますが、人材不足が深刻化する中でLCM業務をアウトソーシングすれば、採用・教育コストを削減しつつ必要な専門性を確保できます。
また、社内のIT機器を適切に管理・運用することで、使っていないソフトウェアライセンスや眠っているハードウェアを洗い出し、無駄な支出を削減することも可能です。
さらにリース期限の管理徹底や保証期間内での修理対応により、契約切れによる延長料金や保証外修理費用の発生を防ぎ、費用対効果を最大化できます。このようにコストを最適化することで、結果的に企業の経営効率向上にも寄与します。
5.デバイスのライフサイクル最適化による長寿命化
LCMサービスの導入によって、各デバイスを最適なタイミングで更新・整備し、ライフサイクル全体を通じて有効活用できます。
例えば、一定の使用年数が経過したPCを計画的にリプレイスしたり、劣化部品の早期交換や適切なメンテナンスを実施したりすることで、デバイスの寿命を延ばし安定稼働期間を長く維持することが可能です。常に最新のデバイスへ入れ替えるだけではなく、各デバイスを過不足なく使い切る運用を行うことで、投資対効果を高めつつ資源の有効活用にもつながります。
6.BCP・災害対策にも有効なデータ保全管理
自然災害やパンデミックなど有事の際にも、LCMサービスは事業継続計画(BCP)対策として大きな効果を発揮します。例えば大規模災害や急な在宅勤務要請により社員がオフィスに出社できなくなった場合でも、LCMサービスの提供会社が迅速に代替PCを用意し、キッティング済みの状態で各自宅へ配送してくれる仕組みがあれば、業務を止めずに継続できます。
さらにクラウドサービスと連携し端末設定やデータ環境を企業側で一元管理しておけば、使用端末が変わってもログインするだけで即座に業務を再開できる柔軟な運用も実現します。
このようにLCMサービスを活用することで、災害時にも素早くIT環境を再構築し被害を最小限に抑えられるため、BCP強化につながります。
7.情報漏えいリスクを回避する安全な廃棄対応
IT資産の廃棄処理において安全性を確保できる点も、LCMサービスを利用する大きなメリットです。不要になったPCやストレージを自社で廃棄する場合、内部データを完全に消去しきれず悪意ある第三者に復元されてしまうリスクがあります。
しかし、LCMサービスなら磁気データ消去や物理破壊など、適切な方法でハードディスク内のデータを復元不可能な形で抹消してくれるため、デバイス廃棄時の情報漏えいリスクを心配する必要がありません。専門業者による厳格な手順に則ったデータ消去・廃棄対応によって、コンプライアンス違反やセキュリティ事故の発生を未然に防止できます。
LCMサービス導入にあたってよくある3つの失敗
1.業務範囲の認識違いによるミスマッチが発生
LCMサービス導入時にありがちな失敗の一つが、委託する業務範囲について認識のズレが生じてしまうケースです。自社の管理対象デバイスや必要なサービス内容に合っていないLCMサービスを選んでしまうと、想定外のコスト増や業務の手間増加につながる恐れがあります。
例えば、自社では不要な作業まで含まれるパッケージサービスを契約すると余分な費用負担が発生しかねませんし、逆にサービス提供範囲が不十分だと、委託先業者と社内現場との間で追加の調整作業が必要となりかえって負担が増えることもあります。こうしたミスマッチを防ぐには、事前に業務範囲を明確に定義し、提供会社と十分にすり合わせを行うことが重要です。
2.自社ルールとの不整合で現場が混乱
自社内のIT運用ルールやセキュリティポリシーとLCMサービスの内容が一致していないと、導入後に現場が混乱する原因となります。
例えば、社内規定で定めた古いデバイスの廃棄方法やデータ消去基準にサービス側が対応していない場合、IT資産のセキュリティが脆弱になる恐れがあります。実際に運用が始まってから「この作業は委託範囲外だった」「社内ルールとサービス手順が合わず二重対応になった」と発覚するようでは、現場に混乱を招きかねません。こうした失敗を防ぐため、事前に自社のルールや要件を洗い出し、サービス内容との適合性を十分に確認しておきましょう。
3.コストだけで選んで機能不足
サービスを選定する際に費用面のみに注目しすぎると、導入後に必要な機能・サポートが不足して後悔するケースがあります。LCMサービスの検討時には、単に安価だからという理由だけで決めるのではなく、そのサービスを利用することで自社にどのようなメリットや効果が得られるかを総合的に考慮する必要があります。
例えば、他社より月額費用が安いサービスでも、自社に必要なサポート範囲がカバーされていなければ結果的に追加対応費用が発生するかもしれません。複数のサービスを機能面・サポート面で比較検討し、自社の課題を解決できる内容か確認したうえで選択すれば、コストとサービス内容のミスマッチを防げるでしょう。
LCMサービスを選ぶ際に見るべき3つのポイント
1.サービスの対応範囲と柔軟性をチェック
まず注目すべきは、LCMサービスが対応可能なIT機器範囲と提供内容の柔軟性です。各サービスによって管理できる製品の種類や台数は異なります。PCのみを対象とするサービスもあれば、タブレット・周辺機器など他のIT機器まで依頼できるものもあるため、自社で利用するIT機器に合わせて対応可能なサービスを選びましょう。
また、自社に必要な部分だけを利用できるかといったカスタマイズ性も重要な選定ポイントの一つです。企業規模や社内のIT担当者の状況に応じて、サポート内容を柔軟に調整してくれる提供会社であれば、より自社にフィットした形でサービスを活用できます。
2.初期費用とランニングコストの比較方法
次に、導入時の初期費用と運用時のランニングコストのバランスを十分に比較検討することが大切です。一般にLCMサービス利用時には、導入時にかかる初期費用のほか、運用・管理にかかる月額費用が発生します。料金は求める機能やサポート内容、管理するIT機器台数や契約形態によって異なるため、単純な費用の安さだけでなく「そのコストに見合う効果が得られるか」を重視してサービスを評価しましょう。
複数の候補サービスについてトータルコストや提供範囲を比較し、自社の予算や期待するROI(投資対効果)に適合する最適なプランを選ぶことが失敗しないポイントです。
3.信頼できる提供会社の見極めポイント
最後に、サービスを提供する会社の信頼性もしっかり見極めましょう。依頼先が信頼できる業者かどうかは非常に重要であり、LCMサービスやIT運用分野に携わってきた年数や実績などを確認すると安心です。過去の導入実績が豊富で、専門ノウハウを蓄積しているプロバイダーであれば、高品質なサービス提供が期待できます。
また、万が一トラブルが発生した際に迅速に対応してもらえる体制かどうかもチェックが必要です。問い合わせ窓口の対応時間帯や連絡手段(電話・チャット等)を事前に調べておき、スムーズにサポートが受けられるか確認しておきましょう。
長期的なパートナーとなる提供会社ですので、信頼性・対応力ともに優れた企業を選定することが、安心してLCMサービスを利用する鍵となります。
参考記事:LCMサービスが適している企業とは?サービス選定のポイントも解説
LCMサービスの導入で業務改革を!まずは小さく始めてみよう
LCMサービスの活用は、企業のIT運用における様々な課題を解決し、業務効率化やコア業務への集中、そしてセキュリティ強化やコスト削減に大きく貢献します。自社の情報システム部門の負荷を軽減し、本来注力すべき事業活動にリソースを振り向ける絶好の機会と言えるでしょう。
とはいえ、最初からすべてのIT資産管理を丸ごとアウトソーシングするのは不安…という場合は、重要度の高い領域からスモールスタートで試してみるのも一策です。いきなり全範囲で導入すると予算面や社内調整で混乱をきたす恐れもありますが、優先度に合わせて小規模から段階的に導入すれば問題ありません。
まずは一部の部署や特定業務でLCMサービスを導入し、その効果を検証しながら徐々に範囲を拡大していくことで、無理なく社内のIT運用改革を進められるでしょう。ぜひ自社に合ったLCMサービスの活用を検討し、IT資産管理の負担軽減と業務効率化を実現してみてください。
LCMサービスならUTORITO
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