PCキッティング作業で失敗しない!必要な知識・スキルと作業における注意点を解説

業務用PCの導入時に欠かせない「キッティング作業」。しかし、設定ミスや管理漏れなど、些細なミスが後々の業務トラブルやセキュリティリスクにつながることも少なくありません。

本記事では、PCキッティングを円滑に進めるために必要な知識・スキルと、作業時に陥りやすい失敗やその対策について、情シス担当者の視点で詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.PCキッティングとは何か
    1. 1.1.セットアップとの違い
  2. 2.PCキッティングに必要な知識・スキル
    1. 2.1.基本的なPCとOSの知識
    2. 2.2.セキュリティに関する知識
    3. 2.3.ネットワーク関連の知識
    4. 2.4.ライセンス管理の知識
    5. 2.5.ハードウェアの基礎知識
    6. 2.6.コミュニケーション能力
  3. 3.PCキッティングの主な手法と特徴
    1. 3.1.1. 手作業によるキッティング
    2. 3.2.2. クローニングによるキッティング
    3. 3.3.3. MDMを使用した自動化・ゼロタッチキッティング
  4. 4.PCキッティング作業のよくあるミス・注意点
    1. 4.1.計画とスケジュールの甘さ
    2. 4.2.標準手順・マスターイメージ未整備
    3. 4.3.設定ミス・検証不足
    4. 4.4.セキュリティ更新・ライセンス管理の抜け漏れ
    5. 4.5.資産・エビデンス管理の不備
  5. 5.PCキッティングは自社内製とアウトソーシングどっちが向いている?
    1. 5.1.自社内製のポイント
    2. 5.2.アウトソーシングのポイント
  6. 6.PCキッティングに関するよくある質問
    1. 6.1.キッティングを行う上で必要な資格はありますか?
  7. 7.PCキッティングに必要な知識と注意点を把握して、作業を効率化しよう
  8. 8.キッティングもUTORITOにおまかせ!


PCキッティングとは何か

PCキッティングとは、新しく購入したPCを工場出荷時の状態から、業務で使える実用状態にまで準備・設定する一連の作業のことです。具体的には、PCの開梱から始まり、OSや必要なアプリケーションのインストール、周辺機器の接続設定、ネットワークへの接続設定、セキュリティソフトの導入、さらにはIT資産管理台帳への登録に至るまで、幅広い項目を含みます。

セットアップとの違い

「セットアップ」は一般にOSをインストールして初期設定を行い、PCを使えるようにする作業を指します。セットアップ作業自体はPC初心者でも行える範囲の、いわば初期設定作業です。

しかし、キッティングはセットアップより作業範囲が広く、ユーザーがすぐに業務に開始できる状態に準備する作業のことを指します。セットアップの作業はキッティングの一部に過ぎず、キッティングには開梱作業から各種アプリやドライバーの設定、セキュリティ対策の実施、社内標準設定の適用など包括的なプロセスが含まれます。そのため、キッティングは情シス(情報システム)担当者などITに精通したスタッフが担うのが一般的です。

PCキッティングに必要な知識・スキル

PCキッティングをスムーズに行うには、多岐にわたるIT知識とスキルが求められます。単にPCの基本操作ができるだけでなく、OSやネットワーク、セキュリティからライセンス管理、資産管理に至るまで幅広い領域を理解しておく必要があります。ここではキッティング担当者に求められる主な知識・スキルを項目別に解説します。

基本的なPCとOSの知識

まずはPC自体とOSに関する基礎知識です。WindowsやmacOSなどOSのインストール方法や初期設定について理解しておきましょう。例えば、Windowsではインストール後にユーザーアカウント設定やアップデート確認が必要ですし、macOSでも初期設定ウィザードへの対応が求められます。OS設定の基本を押さえていれば、一台一台のPCで迷うことなくセットアップ作業を進められるでしょう。
また、PCのBIOS/UEFI設定やデバイスドライバーのインストール知識も含めて持っておくと、トラブルシューティングにも役立ちます。

セキュリティに関する知識

キッティング作業ではセキュリティ対策の知識が欠かせません。社内規定に沿ってOSやソフトウェアを最新の状態にアップデートし、必要なセキュリティパッチの適用やウイルス対策ソフトの導入を確実に行う必要があります。

例えば、WindowsならばDefenderの有効化やウイルス定義ファイルの最新化、必要に応じてBitLockerによるドライブ暗号化設定などを実施します。また、Firewallの設定や不要な外部デバイス接続を制限するポリシー設定なども含め、情報漏えいや不正アクセスを防ぐための知識が必要です。

最近ではゼロトラストセキュリティの考え方も浸透しており、社内ネットワーク内外を問わずデバイスが厳格に保護される設定を施すことが求められます。小さな設定漏れが大きな事故につながることもあるため、最新のセキュリティ情報に通じていることが望ましいでしょう。

ネットワーク関連の知識

PCを社内環境で使うためにはネットワーク接続が必要不可欠です。そのためネットワーク設定に関する知識も重要なスキルの一つです。具体的には、有線LANやWi-Fiの接続設定、IPアドレスの割り当て、プロキシサーバの設定など基本的なネットワーク構成を理解しておきましょう。

加えて、Windows PCであればActive Directoryドメインへの参加設定や、クラウド環境の場合はAzure ADへのデバイス登録などの知識も求められます。これらを適切に行うことで、各PCは社内リソースにアクセスでき、グループポリシー適用など一元管理が可能になります。ネットワーク知識が不十分だと接続不良で業務に支障が出る恐れもありますので、IPやDNSのトラブルシュート方法など含めて習熟しておきましょう。

ライセンス管理の知識

企業内でPCを多数セットアップする際にはソフトウェアのライセンス管理にも注意が必要です。OSやオフィスソフトなど有償ソフトを複数台に導入する場合、正規のライセンス形態であるか確認・管理する知識が求められます。特にクローニング手法で一つのマスターイメージを複製して展開する場合、ボリュームライセンス(複数台向け一括ライセンス)を事前に用意する必要があります。ボリュームライセンスを購入せずに一般ライセンスのOSイメージをコピーしてしまうとライセンス違反となり、最悪の場合法的なトラブルにつながるので注意が必要です。

また、Microsoft 365などのソフトウェアはユーザー単位のライセンス管理になるケースもあるため、セットアップ時に正しく認証やアクティベーションを行う知識も重要です。キッティング担当者は各PCにインストールしたソフトのライセンスキーや契約数を把握し、ライセンス台帳を更新するなどコンプライアンス順守のスキルが求められます。

ハードウェアの基礎知識

PCキッティングにはソフト面だけでなくハードウェアに関する基礎知識も必要です。PC本体の仕様(CPU・メモリ・ストレージ容量など)を理解し、セットアップ対象の機種に応じた周辺機器の取り付けや増設作業を正しく行えるようにしましょう。

例えば、ノートPCにメモリを増設する、デスクトップ機にグラフィックボードを追加する、といったハードウェアキッティングが発生する場合もあります。その際、適切なドライバーのインストールや物理的な取り付け手順を知らずに行うと、接続不良や故障の原因になりかねません。

また、新品PCの開封時には付属品の確認や外観の破損チェック、電源投入して初期不良がないか確認するといった基本作業も重要です。ハードウェアの基礎知識を持っていれば、こうした物理的チェックやトラブル対応もスムーズにこなせるでしょう。

コミュニケーション能力

意外に思われるかもしれませんが、コミュニケーション能力もPCキッティング担当者にとって重要なスキルです。キッティング作業はPCの台数が多い場合、複数人のチームで分担して進めることが一般的です。そのため、メンバー間で情報を正確に伝達し、進捗を共有・確認するコミュニケーションが欠かせません。例えば、作業手順の統一や役割分担の周知、途中で発生した不具合の報告と対処など、適切な連携が品質確保につながります。

また、新入社員用PCのキッティングであれば人事部門との連絡(どの社員にどのPCを割り当てるか、いつまでに準備が必要か等)や、現場部門からのソフトウェア要件のヒアリングなど他部署との調整も発生します。専門的な内容を分かりやすく説明したり、逆に相手の要望を正しく引き出したりする対話力があると望ましいでしょう。複雑な作業ほど「報・連・相」を徹底し、誰が担当しても一定の結果が出せるチームワークを築くことが大切です。

PCキッティングの主な手法と特徴

PCキッティングには、手順や規模に応じていくつかの方法があります。主に「手作業によるキッティング」、「クローニングによるキッティング」、そして近年普及している「MDMを使用した自動化・ゼロタッチキッティング」の3つに分類できます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解し、自社の状況に適した手法を選ぶことが重要です。

1. 手作業によるキッティング

もっとも基本的な方法が、一台ずつ手作業で設定を行うキッティングです。PCの開梱からOSセットアップ、ソフトウェアインストール、設定変更までを担当者が順番に実施していきます。手作業のメリットは、特別な準備や高度なスキルがなくてもすぐ取り掛かることができる点です。少数のPCであれば、一台ごとに個別の要件に合わせて柔軟に設定できる利点もあります。また、特殊なカスタマイズが必要な場合にも、人手ならではの細かな対応が可能です。

しかし、デメリットとして、台数が増えるにつれて作業時間と工数が際限なく増大すること、そして作業者によって仕上がりの品質にばらつきが出やすいことが挙げられます。人間の手による作業はミスも発生しやすく、特にセキュリティ設定のミスは情報漏えいやウイルス感染につながる恐れがあり注意が必要です。手作業キッティングは、小規模導入や緊急で数台だけ対応するときには有効ですが、大量展開には非効率になりがちなので注意しましょう。

2. クローニングによるキッティング

複数のPCをまとめてセットアップする場合に一般的なのが、クローニングという手法です。まず理想的な設定を施した1台のマスターPCを用意し、そのディスクイメージを他のPCに複製(クローン)することで一括設定を行います。クローニングの最大のメリットは、大量のPCでも設定を標準化し、品質を均一に保てる点です。人手によるばらつきやミスを防ぎつつ、一度に多数のPCを短時間で展開できます。また、マスターイメージを保存しておけば、PCが故障した際にもすぐ同じ環境の代替機を用意できるという利点もあります。

しかし、その反面、マスターイメージの作成には高度な専門知識と時間が必要な点がデメリットです。適切に設計・構築しないと、マスターPC自体に設定漏れや誤りがあると複製された全PCに不具合が波及してしまいます。また、機種が異なるPC間では同一イメージを使えずモデルごとにマスターを用意する必要があるなど、事前準備の負担も考慮しなければなりません。

さらに、前述のとおりライセンス面では事前にボリュームライセンスを整備しないとクローン配布はできないので注意が必要です。クローニングは大量導入時の強力な手法ですが、下準備と知識が求められるため、自社で対応が難しければ専門業者への相談も検討すると良いでしょう。

3. MDMを使用した自動化・ゼロタッチキッティング

近年注目されているのが、MDM(モバイルデバイス管理)ツールを活用したキッティングです。クラウド上に用意した設定ポリシーやプロファイルを各PCに適用し、極力人手を介さずにセットアップを完了させる方法になります。特にゼロタッチキッティングと呼ばれる手法では、PCを開封して電源を入れインターネットに繋ぐだけで、OSの初期設定や必要なアプリのインストールが自動で行われます。

具体的には、MDMサービスにあらかじめポリシー設定を登録し、PCのシリアル番号やハードウェアIDを紐付けておくことで、新規PC起動時に自動的に企業の設定が適用される仕組みです。この方法のメリットは、大規模展開や遠隔地への配布も一貫性を保って迅速に実施できる点にあります。開梱・ネット接続だけで済むため、例えば在宅勤務者へ直送したPCでもIT担当者が現地に赴くことなくセットアップを完了できます。また、クラウド経由で一元管理できるため運用開始後の設定変更やソフト追加も容易です。

一方で、導入には事前にMDM環境を整備し詳細なプロファイルを作成する必要があり、準備段階の工数と高度な知識を要します。また、ゼロタッチとはいえネットワーク接続や初回の認証操作など最低限の手順は残る場合もありますし、セキュリティポリシー設定に不備があるとそのミスが一括で全デバイスに展開されてしまうリスクも孕みます。

したがって、自動化を過信せず、まず小規模でテスト導入して問題点を洗い出すといった慎重さが必要です。うまく活用できれば大幅な工数削減につながるため、中〜大規模のPCキッティングや拠点展開には積極的に検討したい手法です。

参考記事:MDMでキッティングを効率化!キッティングにおけるMDMの重要性を解説!

PCキッティング作業のよくあるミス・注意点

PCキッティングは作業工程が多いため、ちょっとしたミスや準備不足が後々大きな問題になることがあります。ここではキッティング担当者が陥りがちなミスや注意すべきポイントを紹介します。事前に把握して対策しておくことで、トラブルを未然に防ぎスムーズな作業進行につなげましょう。

計画とスケジュールの甘さ

計画立案やスケジュール管理の不足は、キッティング作業で発生しやすいミスの一つです。特に大規模にPCを展開する際、行き当たりばったりで着手すると作業工程が増えて時間が足りなくなったり、予期せぬ遅延が発生して業務開始日に間に合わないといった事態になりかねません。そうならないために、あらかじめ詳細な作業計画とスケジュールを策定し、必要な人員や設備、時間を確保しておくことが重要です。

例えば、○月○日〜○日には何台セットアップし、途中検証や不具合対応にどれくらいバッファを設けるか、といった具体まで詰めておきます。また、進捗に遅れが出た場合のリカバリ案(他メンバーの応援を仰ぐ、稼働時間を延長する等)も用意しておくと安心です。スケジュール管理を甘く見ると、単なる効率低下にとどまらず、PCを待つ現場部署の業務開始に支障をきたす恐れもあります。常に進捗を見える化し、状況に応じて計画を調整できる柔軟さも持ち合わせましょう。

標準手順・マスターイメージ未整備

作業手順の標準化やマスターイメージの整備不足も、品質低下の大きな要因になります。担当者各自がばらばらの手順で設定を行うと、人によって設定漏れやミスが発生し、PCの構成にばらつきが出てしまいます。これは配布先の部署で「PCごとに動作が違う」「あるデバイスだけソフトが入っていない」など混乱を招き、サポート対応の負担増にもつながりかねません。この問題を防ぐには、誰が作業しても一定の品質を保てるよう作業手順書やチェックリストを用意し、事前検証を経て標準化しておくことが重要です。

例えば、OSインストール後の設定項目をリスト化し、一台完了するごとにチェックする運用にすれば設定漏れを防げます。同様に、クローニング手法を使うなら事前に最新のマスターイメージを作成し、必要なアプリ・設定が網羅され動作確認済みであることを確認してから複製することが肝心です。標準手順やマスターイメージが整っていない状態で数をこなそうとすると、結局あとから個別修正に追われて手間が倍増するケースもあります。最初に土台をしっかり準備することが、結果的に効率アップとミス低減につながるでしょう。

設定ミス・検証不足

キッティングの各ステップにおける設定ミス事前検証の不足も、現場で起きやすいトラブルです。例えばWindowsのグループポリシー設定を誤り、本来制限すべき機能が開放されたままだったり、逆に必要な機能が使えなくなってしまったりするケースがあります。また、Wi-Fi設定の入力ミスでネットワークに繋がらないデバイスが出たり、プロキシ設定の漏れで社内システムにアクセスできない、といった細かな設定ミスもありがちです。小さなミスが蓄積すると、ユーザー利用開始後に大きな支障となって表面化することも珍しくありません。

これを防ぐには、一通り設定を終えたPCについて動作確認(検証)を十分に行うことが重要です。具体的には、実際に社内ネットワークへ接続してシステムやメールが使えるか、インストール済みソフトが起動するか、セキュリティソフトは正常に稼働しているか等、チェックリストに沿って確認します。可能であれば本番投入前に試験的に数台をユーザーに使ってもらい、問題がないかフィードバックを得るとなお良いでしょう。時間に追われて検証を省略してしまうと、後から現場で「印刷ができない」「VPN接続が設定されていない」といった不具合報告が続出し、結局リカバリーに奔走する羽目になります。設定後の検証は手間と思わず、品質保証の工程として確保しておきましょう。

セキュリティ更新・ライセンス管理の抜け漏れ

セキュリティ関連の更新漏れやライセンス管理の抜け漏れも注意すべきポイントです。前述のとおり、キッティング時にはOSやソフトを最新の状態にアップデートしておく必要がありますが、台数が多いとアップデート適用の抜けが出たり、後でまとめて適用しようとして放置してしまったりするケースがあります。セキュリティパッチ適用忘れのPCが社内ネットワークに繋がると、脆弱性を突いたマルウェア感染のリスクが高まりますので、キッティング工程内に更新プログラムの適用を組み込み、実行記録を残すようにしましょう。

また、ソフトウェアライセンスの登録や認証作業の失念も起こりがちです。Office製品など初回起動時に認証が必要なものは、ユーザーに引き渡す前に認証を済ませておかないと利用開始時に戸惑いを招きます。さらに複数台展開の場合、ライセンス数の消費管理も重要です。同一のシリアルキーを許諾範囲を超えて使い回してしまうとライセンス違反になりますので、必ず管理台帳で「どのPCにどのキーを使用したか」「残り利用可能なライセンス数はいくつか」を更新してください。特にクローニングでは前述のようにボリュームライセンス契約が前提になりますから、その取得を怠ると重大なコンプライアンス違反につながります。セキュリティもライセンスも、一つひとつは地味な確認作業ですが、抜け漏れがないようにしましょう。

資産・エビデンス管理の不備

最後によくあるのが、資産管理やエビデンス管理が不十分なケースです。PCキッティング後には、そのデバイスのインベントリ情報(資産情報)と設定内容を適切に管理する必要があります。具体的には、各PCのシリアル番号や製品番号、配属先のユーザー名や部署、インストールしたソフトウェア一覧、適用した設定ポリシーなどを台帳や管理ツールに記録します。これを怠ると、後日「どのPCに何を導入したか」「誰がどのPCを使っているのか」が把握できなくなり、トラブル発生時に迅速な対応ができなくなる恐れがあります。

また、エビデンス管理とはキッティング作業自体の記録です。例えばセットアップ時に出たエラーメッセージや対応内容、チェックリストで確認済みの項目などをログとして残しておくことが含まれます。記録がないと後で不具合が生じた際に原因を追跡できず、再発防止策も講じられません。対策として、資産管理ラベルをPC本体に貼付して管理番号と台帳を紐付けたり、作業ログを保存したり、クラウド型のIT資産管理ツールを導入して端末情報を一元管理するなどの方法があります。PCキッティングは納品して終わりではなく、その後の運用・保守まで見据えて情報管理するところまでがセットです。不備がないよう体制を整えましょう。

PCキッティングは自社内製とアウトソーシングどっちが向いている?

ここまで、PCキッティングを進める上で必要な知識や方法、注意点を解説してきました。では、実際にそれらを踏まえて、自社でキッティング作業を内製するべきか、それとも専門業者にアウトソーシング(外部委託)するべきか、迷う方もいるでしょう。それぞれの選択肢にメリット・デメリットがあります。この章では自社内製アウトソーシングそれぞれのポイントを整理しますので、自社の状況に照らし合わせて判断する材料にしてください。

自社内製のポイント

自社内製でPCキッティングを行う場合、自社の担当者が直接作業を行うため柔軟な対応ができ、ノウハウも社内に蓄積できるという利点があります。自社独自の要件(業務ソフトの細かな設定や社内ルールに沿ったカスタマイズ)にも即座に対応しやすく、外部に情報を出さないのでセキュリティ面で安心感がある、という点もあります。また、小規模なPC導入や逐次発生する少数台のセットアップであれば、外部に依頼するより社内で手早く対応したほうがコストを抑えられることも多いです。
一方で、自社内製には人的リソースとスキルの確保という課題があります。情シス担当者が他の業務と並行して大量のキッティングを行うのは負担が大きく、通常業務に支障が出る恐れがあります。また、前述したような専門知識が社内になかったり、最新の自動化手法に対応できなかったりすると、結果的に作業品質や効率が下がってしまうリスクもあります。総じて、社内に十分な知見とマンパワーがあり、展開規模も無理のない範囲であれば内製でも問題ありません。しかし、そうでない場合は無理に抱え込まず次のアウトソーシングも検討しても良いでしょう。

アウトソーシングのポイント

PCキッティングをアウトソーシング、つまり専門の代行業者に委託する選択肢も近年増えています。アウトソーシングのメリットは何と言っても、プロに任せることで高品質かつ迅速な作業が期待できる点です。専門業者は多数のキッティング経験を持つエンジニアが揃っており、作業漏れや設定ミスを防ぐ標準手順も確立しています。自社では難しいSSD換装や特殊な周辺機器の組み込みといったハード面の作業も含めて、確実に対応してもらえる安心感があります。さらに、自社の従業員は煩雑なセットアップ作業から解放され、本来のコア業務に専念できるため業務負荷の軽減と生産性向上にもつながります。特に全社一斉のPC入替など短期間に大量展開が必要な場合は、外部のリソースを活用することでスピーディーに完了できるという大きな利点があります。

一方、デメリットとしては、費用がかかることと、自社スタッフが作業に直接携わらないため細かな調整には事前の打ち合わせが必要になる点です。機密情報の取り扱いについてもNDA締結など信頼できる業者を選ぶ必要があります。しかし、総合的には、「知識や時間、品質面で課題があるなら外部委託がおすすめ」とされるように、費用対効果やスピード、確実性で勝る場面が多いです。ポイントとして、自社のPC台数やスケジュール、人員状況を見極め、内製では困難だと判断したら早めにアウトソーシングを検討すると良いでしょう。実績豊富なキッティングサービスでは、1台から大量展開まで対応してくれるところもありますので、必要に応じて相談してみる価値があります。

参考記事:情シスの業務をアウトソーシング!委託可能な業務やメリット・デメリットも解説
 

PCキッティングに関するよくある質問

キッティングを行う上で必要な資格はありますか?

PCキッティング自体を行うために必須の公的資格は特にありません。 つまり、法律上「この資格を持っていないとキッティング作業をしてはいけない」というものはありません。実務的にはPCの基本操作やITインフラの知識があれば誰でも取り組むことができます。ただし、知識習得やスキル証明の意味で資格取得が役立つ場合はあります。例えば、ハードウェアやOSの基礎知識を体系的に学べるCompTIA A+や、IT全般の初歩が身につくITパスポート試験、ネットワーク系ではCCNA(シスコ技術者認定)などはキッティング業務にも関連する内容を含んでいます。

また、Microsoft社の資格(MCPやMicrosoft 365認定資格など)でWindowsクライアントやエンドユーザーコンピューティングの知識を証明できれば、社内外で信頼されやすくなるでしょう。これらは必須ではありませんが、取得過程で得た知識がキッティング実務に役立つことは多いです。要するに大切なのは資格そのものより実践に耐えうる知識と経験ですので、資格がなくても本記事で述べたようなポイントを押さえていれば問題なく作業できます。現場で求められるのは柔軟な対応力ですので、資格取得はそのスキルアップの一環と捉えると良いでしょう。

PCキッティングに必要な知識と注意点を把握して、作業を効率化しよう

本記事ではPCキッティングに必要な知識・スキルと、実際の作業で注意すべきポイントについて解説しました。OS展開やネットワーク、セキュリティ、ライセンス、資産管理といった基礎知識を固め、さらにミスを減らすための計画立案や標準手順の整備を行うことで、キッティング作業は格段に効率化できます。まずは社内の現状を踏まえて、自社で対応可能な範囲と課題を洗い出してみましょう。そして、適切な手法(手作業・クローニング・ゼロタッチの活用)を選択し、必要に応じて自動化ツールの導入や専門業者への相談も検討してください。

最初は手間に思える準備も、運用開始後のトラブル削減や作業時間短縮という形で必ず効果が現れます。今回紹介した知識と注意点を押さえつつ、ぜひ自社のPCキッティング業務に役立てていただき、生産性向上とスムーズな新環境構築を実現しましょう。

キッティングもUTORITOにおまかせ!

株式会社Tooが提供するUTORITOは、デバイスの調達から保守・リプレイスまでを任せられるアウトソーシングサービスで、キッティングのご支援にも対応しています。

TooはAppleの正規販売店として約40年の歴史があり、Apple製品およびプラットフォームに精通した専任チームによる導入コンサルテーションや、Windowsとの混在環境におけるMac導入検証の実行支援などを提供しています。このような豊富な支援実績からお客様ごとに最適で柔軟なキッティングをご提案いたします。

Macのキッティングにお困りでしたらぜひ一度お問い合わせください。



CONTACT

デバイス運用の煩雑な業務を
UTORITOにアウトソーシングしませんか?

\今ならキッティング作業の効率化・自動化等、情シス業務の負担軽減に関する完全解説ガイドを限定配布中!/

まずはお気軽にご相談(無料)

5分でわかる!UTORITO

お電話でのお問い合わせはこちら

平日10:00~17:00