キッティングとセットアップの違いとは?作業内容を徹底比較

パソコンなど、IT機器を新しく導入する際に耳にする「キッティング」と「セットアップ」。

一見同じような意味に捉えられますが、具体的に指す範囲は異なります。本記事では、両者の定義や作業内容の違いを整理し、効率的にIT環境を整備するポイントについても徹底比較します。

目次[非表示]

  1. 1.キッティングとセットアップの違い
    1. 1.1.キッティングとは
    2. 1.2.セットアップとは
    3. 1.3.キッティングとセットアップの違いは作業範囲!
  2. 2.キッティングとセットアップの作業内容を比較
    1. 2.1.キッティングで行う主な作業
    2. 2.2.セットアップで行う主な作業
  3. 3.知らないと危険!キッティング・セットアップを自社対応する際の落とし穴
    1. 3.1.工数・負担の増大
    2. 3.2.人的ミスと品質ばらつき
    3. 3.3.ライセンス違反のリスク
  4. 4.キッティング作業を効率化する3つの方法
    1. 4.1.クローニング
    2. 4.2.MDM(Mobile Device Management)
    3. 4.3.アウトソーシング(外部委託)
  5. 5.キッティングとセットアップの違いを理解して効率良くIT環境を整えよう
  6. 6.キッティングもUTORITOにおまかせ!

キッティングとセットアップの違い

企業のIT担当者であれば「キッティング」と「セットアップ」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。どちらもパソコンなどデバイスの初期設定に関わる用語で、しばしば混同されがちですが、実は意味やカバーする作業範囲が異なります。

まずは両者の定義と違いを確認してみましょう。例えば、新人用PCの準備を「セットアップ」と表現することがありますが、情シス担当者が指す「キッティング」はより幅広い工程を含む点に注意が必要です。

キッティングとは

「キッティング」とは、メーカー出荷時のまま届いたパソコンやスマートフォンなどのIT機器に対し、業務に必要なソフトウェアのインストールや各種設定を施し、ユーザーがすぐに業務に開始できる状態に準備する作業を指します。具体的にはOSアップデートや設定変更、業務用アプリケーションの導入などを行い、デバイスを各職種・業務に最適な状態にセットアップします。

例えば、新入社員に支給するPCの用意や、オフィス移転・デバイスのリプレイス時の大量セットアップなどで行われる一連の初期設定作業がキッティングです。セキュリティポリシーに沿った制限設定や、部署・役職ごとの権限設定まで含める場合もあり、デバイスを業務利用に最適化する総合的な準備作業になります。企業では一般的に情報システム部門がキッティングを担当しますが、準備台数が多いほど担当者の負荷も大きくなります。

セットアップとは

一方で「セットアップ」とは、デバイスを使える状態に設定するための基本的な作業を指す言葉です。一般にはPCのOSをインストールして初期設定を行うことや、必要なソフトウェアを入れて利用可能な状態に整えることを意味します。セットアップ作業自体は高度な専門知識を要さず、個人でも画面の指示に従って進められる内容が中心です。実際、新品のPCの初回起動時にはセットアップ用のウィザード(初期設定画面)が表示され、ユーザー自身が画面の指示に沿って基本設定を完了できます。

キッティングとセットアップの違いは作業範囲!

キッティングとセットアップの最大の違いは作業範囲の広さにあります。キッティングにはセットアップ作業も含まれており、OSの初期設定だけでなく社内ネットワークへの接続設定、ウイルス対策ソフトや業務アプリの導入、周辺機器の接続設定、動作確認、資産管理台帳への登録に至るまで、ユーザーがすぐに業務を開始できる状態にするためのあらゆる工程が含まれます。言い換えれば、セットアップはキッティング作業の一部であり、キッティングが完了して初めて現場ですぐに使える端末が出来上がるのです。両者とも「端末を使える状態にする」という点では共通していますが、そのカバー範囲が大きく異なることを理解しておきましょう。


項目
キッティング
セットアップ
意味

新規デバイスを業務利用できる状態に準備する一連の作業

デバイスにOSやソフトをインストールし使える状態に設定する作業

作業範囲

OSセットアップに加え、ネットワークやアプリ設定、動作確認、資産登録まで含む広範な工程

OSの初期設定が中心。個別の調整や業務アプリの細かい設定、資産台帳記入などは行わない

担当者   

情報システム部門の担当者が実施(専門知識が必要)


利用者自身でも対応可能(画面の指示に従えば初心者でも実施可)

キッティングとセットアップの作業内容を比較

では、実際にキッティング作業とセットアップ作業でどのようなことを行うのかを比較してみましょう。
それぞれの主な作業項目は以下のとおりです。

キッティングで行う主な作業

キッティングでは、端末をユーザーに手渡す前に必要な一連の準備を行います。その主な内容は次のとおりです

  • 開梱(箱から取り出し付属品確認)
  • 設置(周辺機器の接続・配置)
  • OSセットアップ(OS初期設定)
  • ネットワーク設定(社内LAN/ Wi-Fi接続)
  • ソフトウェア導入(必要アプリのインストール)
  • セキュリティ対策(ウイルス対策ソフト導入等)
  • 動作確認(各種機能のテスト)
  • 資産登録(管理ラベル貼付・台帳記入)

なお、キッティングの具体的な手順は企業や部署によって異なり、業務内容に応じて追加のセットアップ作業(例:特定ソフトの設定や周辺機器の調整)が発生する場合もあります。

参考記事:キッティングのやり方を徹底解説|PC設定の方法・作業手順・効率化のコツまで網羅

セットアップで行う主な作業

セットアップ作業はキッティングと比べて範囲が限定的です。端末を基本的に利用可能な状態にするために行う代表的な内容として、次が挙げられます

  • 必要なソフトのインストール(ユーザーが使いたいアプリの導入)
  • 個別設定の調整(ユーザーアカウントのパスワード設定や画面の解像度調整など)

要するに、セットアップは「使う人の手元で仕上げる最低限の設定」と言えます。企業内ではキッティング済みの端末を配布した後、最終的な個別調整を利用者自身が行う部分がこのセットアップ作業に該当します。

知らないと危険!キッティング・セットアップを自社対応する際の落とし穴

キッティングやセットアップの作業は自社の情シス担当者が内製対応するケースも多いでしょう。しかし、社内対応には思わぬ落とし穴やリスクも潜んでいます。ここでは内製で初期設定を行う場合に注意すべきポイントを解説します。

工数・負担の増大

まず問題となるのが、担当者の工数負担が大きいことです。キッティング作業にはOSセットアップ、ネットワーク接続設定、ソフトウェア導入など多数の手順があり、1台あたりでも完了までに相応の時間がかかります。さらに、複数端末を同時期にセットアップしなければならない場合、担当者は本来の業務に時間を割けなくなり、スケジュール遅延の原因にもなります。外注せず自前で行えば費用は抑えられると思われがちですが、その裏では人件費や残業の増加、他業務の停滞といった見えないコストが発生する点に注意が必要です。

人的ミスと品質ばらつき

手作業で多数の端末を設定する場合、どうしても人的ミスや設定品質のばらつきが発生しやすくなります。担当者のスキルや経験によって設定漏れ・誤設定のリスクがあり、部署ごとに別々に対応すると標準化されず端末ごとに環境が異なる事態にもつながります。特に納期に追われて短期間で大量キッティングを行う際は、ミスが生じやすく、後から不具合を修正する手間も増大しかねません。内製の場合はマニュアルやチェックリストの整備で一定の対策はできますが、最終的な品質は作業者に依存するため、ばらつきをゼロにすることは難しいでしょう。実際、設定ミスを一台でも放置するとその端末だけセキュリティ対策が不十分になるなど、企業全体のリスクにもつながりかねません。

ライセンス違反のリスク

意外と見落としがちなのがソフトウェアライセンスの問題です。例えばWindows PCのキッティングでクローニングを行う際、マスターPCにプレインストールされていたOSイメージをそのまま複製するとライセンス違反に該当します。プリインストールOSのライセンスはその1台限り有効なためで、正しく複数展開するにはボリュームライセンス(再イメージング権)を取得してマスターイメージを作成する必要があります。

このように知識不足のまま内製でキッティングを進めると、OSやソフトウェアの不正利用とみなされるリスクがあるため注意が必要です。なおOS以外のソフトでも同様で、違反が発覚した場合はペナルティを科される可能性があります。

キッティング作業を効率化する3つの方法

以上の課題を踏まえ、キッティング作業を効率良く行うための代表的な方法を3つ紹介します。大量のデバイス導入時でも迅速かつミスなく初期設定を完了させるために、以下の手法を検討してみましょう。

クローニング

クローニングとは、1台のマスターPCに必要な設定をすべて施した上で、そのシステムイメージを他のPCに丸ごとコピーして展開する手法です。従来の一台ずつ手作業で設定する方法に比べて、作業時間を大幅に短縮でき、設定ミスも削減できるため効率化に有効です。例えば10台のPCを用意する場合でも、1台をマスターとして設定すれば残り9台は短時間で同一環境を複製できます。特に教育機関・自治体・コールセンターなど大量のPCセットアップを定期的に行う現場では、クローニングによる運用は非常に効率的です。

一方で、マスターイメージの作成には専門スキルや事前準備が必要であり、OSやアプリのライセンス管理にも注意が求められます。クローニングを活用する際は、ボリュームライセンスの用意やセキュリティ設定の適用漏れがないよう事前にしっかり計画しましょう。

MDM(Mobile Device Management)

MDMとは、社内のPCやスマホなど複数デバイスを一元管理できるモバイルデバイス管理システムです。クラウド経由で各端末に設定ポリシーやアプリ配信を行えるため、一度の操作で必要なソフトのインストールや各種設定を一斉適用することが可能です。担当者が一台一台手作業をする必要がなくなるため、中~大規模のキッティングで特に有効でしょう。近年普及しているMicrosoftのWindows AutopilotやAppleのADE(Automated Device Enrollment)といった仕組みを使えば、購入直送したPCを開封してネットワークに繋ぐだけで自動的に社内標準のキッティングが完了する「ゼロタッチキッティング」も実現できます。MDMを活用することで、端末設定の標準化や担当者負荷の軽減など全社IT管理体制の強化につながります。

参考記事:MDMでキッティングを効率化!キッティングにおけるMDMの重要性を解説!

アウトソーシング(外部委託)

社内で対応が難しい場合は外部業者への委託も有効です。アウトソーシングでは専門チームに任せることで、設定漏れのない対応が可能です。経験豊富な専任チームが短期間で確実にキッティングを完了してくれるうえ、自社では認識していなかったリスクにも専門知識に基づき対策してもらえるため安心です。なお、外部委託費用はPC1台あたり数千〜数万円程度です。社内で要する人件費や時間と照らし合わせ、費用対効果を見極めることが大切です。

参考記事:情シスの業務をアウトソーシング!委託可能な業務やメリット・デメリットも解説

キッティングとセットアップの違いを理解して効率良くIT環境を整えよう

「キッティング」と「セットアップ」は似たような意味で使われるものの、その作業範囲の違いを正しく理解することが重要です。本記事で解説したように、キッティングは包括的な準備プロセスであり、その中にセットアップ作業が含まれています。自社のIT環境整備においては、必要に応じてクローニングやMDM、アウトソーシングなども活用しながら、効率的かつ確実にデバイスの初期設定を行うことが求められます。

キッティングとセットアップの違いを踏まえて適切な方法を選択し、従業員がすぐに安心して業務を開始できるIT環境を整えましょう。また、準備するPC台数や社内リソース状況に応じて、すべて内製で対応するか専門サービスを活用するかといった対応範囲の見極めも重要です。

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